"6000 miles away" Sylvie Guillem 9月23日

サドラーズウェルズ劇場でシルヴィ・ギエムによる『6000 miles away』を観る。7月に行われた公演の追加公演だろうか。構成はトリプル・ビルで、

『Rearray』ウィリアム・フォーサイス振付
『27'52''』イリ・キリアン振付
『Bye』マッツ・エック振付

フォーサイスの『Rearray』は、シルヴィ・ギエムとニコラ・ル・リッシュによるもの(プログラムを買わなかったので、男性ダンサーが本当にル・リッシュだったか、私には自信が無いのですが、オリジナルのキャストはル・リッシュです。)。幕が上がると無造作に舞台上に上がる2人の男女。まるで普段着のジーンズのように見えるズボンにグレーのTシャツ。見た瞬間、「ギエムが化粧をし、チュチュを着て踊る日は、きっともう無いのだろうな。」と感じた。クラシックの型を少しずつ歪ませていくようにして踊る2人。それは身体の形の追求のようで、どんな風に身体が動くのか、とことん試しているような、厳しい空気を感じさせる舞台だった。

キリアンの『27'52''』は、オーレリ・カイラと小尻健太。(やはり女性ダンサーが彼女かどうか、自信がありませんが、オリジナルのキャストはオーレリ・カイラです。)ガーディアン紙のレビューでの扱われ方が興味深い。

"While it is beautifully performed by Aurelie Cayla and Kenta Kojiri, it distracts from the evening's focus. And that is only, ever, Guillem herself."
Judith Mackrell The Guardian, Thursday 7 July 2011
http://www.guardian.co.uk/stage/2011/jul/07/sylvie-guillem-review?INTCMP=SRCH

「オーレリ・カイラとケンタ・コジリによって美しく上演されていたが、この夜の公演の趣旨からは逸れている。ギエム以外はいらないのだ。」
ジュディス・マッケレル ガーディアン紙 2011年7月7日(木)

ギエムが踊った2つの作品に関する長いレビューの後に、たったこれだけの扱われ方。評価はされているけれども、異色なものが混じってしまった、ギエムは格が違う、と言いたいのだろうか。ただ、この批評には『6000 miles away』のタイトルについては言及されていないので、おそらく日本の震災の復興に対する応援の気持ちが込められていることに気付いていないのだろう。6000マイル離れた日本へ捧げられたもののはず。イギリスのバレエファンにとってはこれが正直が感想かもしれないが…。純粋にバレエだけを評価するなら、ごもっともかもしれないけれど、ギエムとしては彼女が認める日本人ダンサーへ、舞台への協力を依頼したのではないだろうか?(なにぶん、プログラムを買っていないので、経緯は分かりませんが。)

最後、個人的にはエックの『Bye』が楽しめた。一つ目の厳しさとは全く異なり、中年女性の鬱屈した思い、悲哀を、ユーモラスに表現している。現実世界をスクリーンの向こう側とし、彼女の精神世界を舞台上とする。完璧で美しいギエムに、こんな姿があったとは。

彼女の全く異なる2つの姿、”厳しさ”と”悲哀”を魅力的に見せてくれた、素晴らしい公演だった。
[PR]
by tsutsumi_t | 2011-09-23 23:50 | ダンス


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


by Tsutsumi

プロフィールを見る
更新通知を受け取る

カテゴリ

全体
ダンス
ダンス(日本)
演劇
オペラ
ミュージカル
歌舞伎
ストリート
読書
子育て
わたしのこと
未分類

最新の記事

山上憶良をすこしよむ
at 2017-07-26 21:56
百人一首が頭を行き交う
at 2017-07-12 20:59
0か月~2か月の頃はなんだか..
at 2017-07-04 00:01
ショパン
at 2017-04-17 20:50
お裁縫にハマる
at 2016-12-14 16:21

以前の記事

2017年 07月
2017年 04月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 07月
2016年 04月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 02月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 07月
2014年 02月
2013年 12月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月

最新のトラックバック

プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

検索

タグ

その他のジャンル

記事ランキング

ブログジャンル

子育て
日々の出来事

ブログパーツ