英国ロイヤルバレエ『マノン(MANON)』 2011年11月17日

英国ロイヤルバレエの『マノン(MANON)』を観る。

マノン ・・・・・・ サラ・ラム(Sarah Lamb)
デ・グリュー ・・・・・・ ルパート・ペンネファーザー(Rupert Pennefather)
レスコー ・・・・・・ ティアゴ・ソアレス(Thiago Soares)

これまでに、タマラ・ロホ&カルロス・アコスタ,アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボーの2組を見たことがあるので、どうしても今回はそれらとの比較になる。

コンテンポラリー作品『LIMEN』でサラ・ラムを観て以来、サラ・ラムがとても気になる。『LIMEN』ではその非人間的な柔軟性と感情表現を徹底して排したダンスが相まって、この人は、これまでのバレエとは全く違う、一世代飛び越えたようなダンスを踊るダンサーなんだと感じた。

しかし、今回の『マノン』は演劇のようなバレエ。この3幕の間に様々な出来事が起こり、人間の感情表現が大きな鍵となり、『LIMEN』とは真逆の作品ともいえるだろう。彼女の柔軟性も衣裳に隠れてそれほど目立つことはないだろう。サラ・ラムは一体どのように踊るのだろう???


結果として、サラ・ラムの演技は素晴らしかった。観ていたときは、タマラ・ロホのマノンの方がいい、サラ・ラムのマノンは小悪魔すぎて冷たい、と感じたけれど、後からじわじわと分かってきた気がするのだ。

観ていて改めて感じたのは、サラ・ラムが作るマノンという女性像は、もっともっと小さな若い女の子なんだろうな、ということ。高校に入ったばかりの女の子くらいの感じ。キャピキャピとしていて、深く物事も考えない。愛と富に翻弄され、それらに立ち向かう強さは無い。小柄なサラ・ラムがふるえるようにこじんまりと舞台にくずれおちる姿は、運命に振り回された哀れな美少女を強く感じさせた。

その反面、サラ・ラムによるマノンの富に執着する一面は、ロホやコジョカルが演じるよりも冷たく思えた。ロホやコジョカルの場合、そこにためらいやデ・グリューへの未練を感じさせたけれども、優雅なドレスをまとったサラ・ラムのマノンはデ・グリューに目も向けず、ツンとした印象。そしてGMを誘惑することにとまどいも感じさせない。
観たときは違和感を感じたけれども、その後、流刑地で看守に乱暴され、デ・グリューが看守を刺してしまった後、腕輪を彼女が投げ捨てるシーンを観て、納得がいった。ここで初めて彼女は富を捨てるわけで、富が引き起こした恐ろしい事件から初めて学んだわけで、それより以前に富へのためらいなど見せないのも当然である。
サラ・ラムのマノンが、小さな若い少女、であることが彼女のマノンの魅力かもしれない。
ロホのマノンにはもっと温かみがあり、コジョカルのマノンには愛らしさがあふれているけれども、サラ・ラムのマノンは幼いゆえの浅はかさが強調され、それゆえに翻弄される哀れさが引き立っていると思った。


ところで、ペンネファーザーはどうだっただろうか?当然、ハンサムだった。私の中でのデ・グリューは、アコスタの『シャイでオタクっぽいデ・グリュー』、コボーの『すこしナンパなデ・グリュー』、そしてペンネファーザーの『真面目で誠実な正統派デ・グリュー』といった感じ。


ところで、ロイヤルバレエは今シーズン、サラ・ラムのプッシュがすごい。おかげで彼女の魅力を知ることになったわけだけれど、反面、コジョカルがほとんど出演しない。出演回数が少なすぎる。どうして?気になる。
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by tsutsumi_t | 2011-11-17 23:55 | ダンス


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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