レビューを信じるか、否か

セルゲイ・ポルーニンの突然の英国ロイヤルバレエ退団のニュース。
これからのシーズンの演目に大量にエントリーしていたため、異常な唐突さだ。既にロイヤルバレエの公式サイトにおける、ポルーニン分のキャストは全て『TBC(To be confirmed)』に書き換えられた。が、その他のロイヤル以外への出演はどうなるのだろう?
いま手元に買ってあるチケットを確認してみたら、2月に観る予定のロイヤルの『The Dream(真夏の夜の夢)』がポルーニンが出演予定だったものだ。また、3月に観る予定のガラ公演『RUSSIAN BALLET ICONS GALA: ANNA PAVLOVA』にも出演することになっていたはず。後者はロイヤルバレエじゃないので、出演するだろうか?それとも??
そもそも、退団?なのか、引退?なのかも分からない。

真相は分からないので、これ以上憶測を広げるのはとりあえずやめ、ふと、ポルーニンといえば、ポルーニンに関連して、批評家たちのレビューとの付き合い方について、考えたことがあるなぁと思い出した。


--------------


カスバートソン=ポルーニン組が昨秋『Manon(マノン)』にロールデビューした際、各紙の評価がバラバラだった。私は彼らのペアは観ていなかったので、どんなデビューだったのか気になり、各紙のレビューをチェックした。すると評価はまちまちであった。大げさにいえば、ある批評家は大絶賛、別の批評家はこきおろすといった感じ。

例えば、ガーディアン紙のJudith Mackrell氏は、どちらも素晴らしいとしながら、カスバートソンにはちょっとした物足りなさを感じたのか注文を付け、ポルーニンに対しては稀代の男性ダンサーと大絶賛であった。

(以下引用)
"One key element that's missing from Cuthbertson's performance is a clear reading of Manon's transition from love to material lust, the shiver of acquiescence to GM's luxury offerings. "
「カスバートソンのパフォーマンスには、マノンの心が愛から物欲へと推移していく姿、GMの豪奢な誘いへ受けることへの心の震えへの理解が欠けていた。」

"As for Polunin, he is one of the most convincing Des Grieux I've seen. ........ But while many others stress a heroic quality in Des Grieux's romanticism, Polunin allows him to look vulnerable, even weak. "
「ポルーニンは私がこれまでに見たデ・グリューの中でもっともしっくりくる者の一人である。・・・(中略)・・・他のダンサーたちがデ・グリューのロマンチシズムに英雄っぽさを強調させているのに対して、ポルーニンはデ・グリューを傷つきやすく、むしろ弱々しさをさえ併せ持つ青年に見せた。」

http://www.guardian.co.uk/stage/2011/nov/09/manon-ballet-review
(以上、guardian.co.uk, Wednesday 9 November 2011 "Manon - review" by Judith Mackrell より引用)


一方、バレエ用品メーカー、チャコットのサイトでアンジェラ・加瀬氏が、カスバートソンを褒めあげる一方、ポルーニンへの苦言は「破綻」の言葉まで飛び出す容赦ない扱われ方だ。

http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-london/london1112a.html
(Dance Cube チャコットwebマガジンへのリンク)

まぁ、彼らの観劇した日にちが異なってただけかもしれないけど。


ただ、私の中では、こうした批評家たちの食い違いは、批評家のレビューを鵜呑みにすることがナンセンスなんだ、と気付かせてくれた。
彼らの主観は参考程度に読めばよい。レビューのところどころにある、彼らでないと手に入らない内輪ネタやスクープ、または彼らの豊富な観劇経験からの客観的な歴史的事実のみを信じればよい。
自分の印象と異なる意見が翌日のレビューに出たとしても、自分を疑う必要は無い、と考えるきっかけになったのが、カスバートソン=ポルーニンの『Manon(マノン)』だった。
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by tsutsumi_t | 2012-01-28 08:47 | ダンス


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Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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