Anna Pavlova : RUSSIAN BALLET ICONS GALA 2012年3月4日

アンナ・パブロワのイギリス移住100周年を記念して、パブロワのトリビュート・ガラ公演がロンドンColiseumで開催された。『RUSSIAN BALLET ICONS: Anna Pavlova』。

1. Le Corsaire (海賊): Anastasia Stashkevich, Viacheslav Lopatin
2. Compassione: Giuseppe Picone
3. Giselle(ジゼル): Alina Samova, David Makhateli
4. Russkaya(ルスカヤ): Ulyana Lopatkina(ウリヤーナ・ロパートキナ)
5. Romeo And Juliet(ロミオとジュリエット): Iana Salenko, Marian Walter
6. Life is a Dream: Tamara Rojo(タマラ・ロホ)
7. La Dame aux Camelias(椿姫): Alina Cojocaru(アリーナ・コジョカル), Alexandre Piabko
8. Cor Perdut: Svetlana Zakharova(スヴェトラーナ・ザハロワ), Andrey Mekuriev
9. Splendid isolation 3: Irina Dvorovenko, Maxim Beloserkovsky
10. Raymonda Pas de Deux(ライモンダ): Tamara Rojo(タマラ・ロホ), Sergei Polunin(セルゲイ・ポルーニン)
11. Manon(マノン): Daria Klimentova(ダリア・クリメントヴァ), Vadim Muntagirov(ワディム・ムンタギロフ)
12. La Bayadere(バヤデール): Evgenia Obraztsova
13. White Swan Pas de Deux(白鳥の湖): Myriam Ould-Braham, Alessio Carbone
14. La Prisonniere: Lucia Lacarra(ルシア・ラカッラ), Marlon Dino
15. Pavlova & Cecchetti: Ulyana Lopatkina(ウリヤーナ・ロパートキナ), Marat Shemiunov


アンナ・パブロワのトリビュート、ということだったが、演目はそれほど彼女に特化しているわけではなかった。彼女が踊ったであろう演目の際には、彼女の写真が背景に映し出されていたが、他に新作もあれば、特にパブロワだからこれ、というわけでもない演目も多い。主にロシアや東欧出身の世界で活躍しているダンサーたちを集めたガラ公演である。

前半ではウリヤーナ・ロパートキナの”ルスカヤ”が飛びぬけてすばらしかった。客席はそれまでの舞台とは打って変わってしんと静まりかえり、舞台上のロパートキナへ全ての視線が集中する。脚のラインを露わにしない衣装で動きも控えめであるにもかかわらず、その手足や物腰の柔らかさと視線の鋭さは観客を捉えて離さず、まるで静かに燃える炎が舞台をゆらゆらと動きながら、観客を妖しく誘惑するかのようだった。

後半では、タマラ・ロホとセルゲイ・ポルーニンの”ライモンダ”からのパ・ド・ドゥが最高の盛り上がりを見せた。次々と繰り出される技の競演に拍手が次から次へと起こる。ポルーニンが健在で良かった!と安心した人も多かったのではないだろうか。複雑なグラン・ジュッテを正確に繰り返す彼に、観客は声援とも思える温かな拍手を送った。ロホはソロをタンバリンを持たずに、手を打ち合わせるスタイルで踊った。このゆっくりとしたソロはエキゾティックで、ロホにぴったりだった。

ポルーニンがロイヤルバレエを退団以降、彼に関する批判の中では、パートナーリングに問題があったことが多く指摘されている。バレリーナをサポートする技術がなってない、ということらしい。今回、年輩で経験豊富なロホと踊ったせいか、そうしたことは特に感じなかった。しかし、グラン・パ・ド・ドゥの最後、アンデオールで回るロホを、通常のサポートであれば、男性ダンサーは腰にそっと手を当てて軸がぶれないようにしているべきなのだが、明らかにポルーニンは意図的に、その手をふわりと大きく、腰から離してみせた。「あぁっ」と思い、ロホは一瞬少し傾いたようにも思えたが、そのまま問題なくフィニッシュのポーズを取って終わった。あれはなんだったんだろうか。ロホが安定して回転していることを見せたかったのか?とにかく一瞬のことだけれど、異常に思えた。舞台は何事もなく終わったけれども。
先にも述べた通り、ロホとポルーニンには今回のガラ公演で最大ともいえる拍手・歓声が起こった。

他には、ルシア・ラカッラの奔放で小悪魔的な雰囲気が新鮮だった。小さな身体にバネが入っているかのように生き生きと踊るダンサーだった。
アリーナ・コジョカルの"椿姫"は、期待していたのに、分かりにくくて残念だった。ドラマティックな場面であるのは分かるのだけど・・・、リフトが多く、動きも全体的に早く、コジョカルによる役の細かな作り込みを楽しむようなものではなかった。初めて見る物語のバレエを抜粋で見ると良くない、のかも。


今回、残念だったのは、パブロワに注目した公演でありながら、その演出に大した工夫が無かったこと。パブロワの名前を冠するのであれば、それぞれの演目の前に彼女の映像を流してから、現代のダンサーが踊ってみせる(そんなのはダンサーに重荷すぎる?)とか、各ダンサーにパブロワへの思いを語らせるとか、少なくとも演目はすべてを彼女のレパートリーから選ぶとか、してほしいのに・・・。
また、"ロミオとジュリエット""マノン"といった、演劇性の強い演目は、ガラ公演で観るには感情移入もできないので、面白味が半減してしまうし、"ジゼル"も同様にガラ公演で観て、ダンサーの良さが分かるような演目ではなかった。
この公演全体の組み立てが、「定番の演目、話題の演目を集めました」というのが分かってしまうし、「スターを呼ぶには仕方なかったんです」というのも分かってしまって、残念だった。
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by tsutsumi_t | 2012-03-09 08:05 | ダンス


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Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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