英国ロイヤルバレエ『La fille mal gardée』 2012年5月4日

フレデリック・アシュトン振付『La fille mal gardée(リーズの結婚)』。友人のミドリさんと観る。


WIDOW SIMONE(シモーヌ): Philip Mosley(フィリップ・モーズリー)
LISE(リーズ): Yuhui Choe(ユフィ・チェ)
COLAS(コーラス): Brian Malony(ブライアン・マロニー)


リーズが階段にお尻をついてずり落ちて拗ねてみせる仕草や、独り言で夢を語っていたのをコーラスに見つかったリーズがスカーフを頭にかぶってしまう仕草、リーズの子供っぽいそうした仕草は笑いを誘うと同時に、とてもリアルで身に覚えのある仕草だった。

一般的に、バレエで用いるマイムは、登場人物の心情を表現するのには便利だけれども、実際の生活の中でそうしたマイムの動きをする人はいないだろうし、または、ある意味使い古された、誰が見ても分かる普遍的な仕草である。

しかし、アシュトンが演出した動きは、アシュトンが小さな子供をじーっと観察して抽出してきたようなものが多い。無邪気に遊ぶ小さな子供やふくれっ面をした若い女性など、感情が溢れている人間を見つめたアシュトンの温かい眼差しが、バレエ全体に感じられるような気がした。


私はアシュトンがどういった人物なのか、知りたいと思った。きっと家庭に恵まれた人だったんだろうな、と思ったから。

フレデリック・アシュトン(1904-1988)のバレエのキャリアは、アンナ・パブロワに魅せられ、バレエ・リュスを解雇されたレオニード・マシーンのバレエ教室に通い始めるところから始まる。このとき既に18歳。その後、やはりバレエ・リュス出身のマリー・ランバート(Ballet Rambertの創始者)の下で振付を始める。31歳でヴィック・ウェルズ・バレエ(現在のロイヤル・バレエの源流)の専属振付家になる。

まるで順風満帆に見えるのだが、しかし彼のパーソナル・ライフを見ると、彼の父親は自殺、彼自身に妻や子供はいない。
彼が抽出してきた仕草は、自分の親や恋人、子供といった肉親ではなく、人間と距離を置き、客観的に見つめた結果なのかもしれない。

また、アシュトンがモダンの神のようなバレエ・リュスの系譜を引く先生に付きながら、アシュトン自身が作る作品はそれらとは一線を画しているのも不思議だ。アシュトンのバレエは演劇好きなイギリス人が好みそうな、芝居の要素が多く、そのせいか抽象的で分かりにくい部分は全く無い。ダンスもクラシックの基本を外れることは無い。

アシュトンの振付作品はこれまでに、『Enigma Variations(エニグマ・ヴァリエーションズ)』と『Scènes de ballet(バレエの情景)』、『Marguerite and Armand(マルグリットとアルマン)』を見た。
『エニグマ・ヴァリエーションズ』は、とある幸福な日常の一コマを切り取ったような写真のようなバレエ。
『Scènes de ballet』は全くのアブストラクト・バレエ。技法こそクラシックだが、まったくストーリーや感情表現は無い。純粋なダンス。
打って変わって、『マルグリットとアルマン』は、椿姫の情熱を映す鏡のような存在のバレエで、とりあえずのストーリー展開はあるものの、基本的には椿姫の感情の推移と情熱を表現するための小品だ。


『La fille mal gardée』はユーモラスな作品で、アシュトンのユーモアがダンスの中に溶け込んでいる。客席には笑いがあふれていた。
私は、中でも木靴をはいて踊るタップダンスが(バレエらしくないけれど)好きだ。
1:00くらいで木靴のダンスが始まる。



なぜこのダンスに惹かれるのか分からなくて、最初は音楽が有名だから?だと思った。聞き覚えのある曲だったから。けれども、一緒に観ていた友達に「この曲、有名だよね。」と言ったら「え?」との返事。家で旦那にも聞かせたが、やはり「初めて聞いた」。
そのうち、昔、バレエを習っていたときに、よくレッスンで使われていたピアノ曲だったことに気付いた。バレエのレッスン曲は私の身に染みついて、今でも私をホッとさせてくれているらしい。
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by tsutsumi_t | 2012-05-07 05:49 | ダンス


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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