Ballet Preljocaj 『Snow White』 2012年5月11日

Sadler's Wells劇場にて、Anjelin Preljocaj振付の『Snow White(白雪姫)』を見る。

プレルジョカージュについては、私がまだ高校生のときにNHKの芸術劇場で放送された『Le Parc(ル・パルク)』の振付家として知っていた。
『ル・パルク』は17世紀のフランス宮廷のエロチシズムとその解放をえがいたコンテンポラリー・ダンスで、パリ・オペラ座のために振り付けられたもの。

当時、コンテンポラリー・ダンスとは短い小品なんだ、と思っていた私にとって、全幕という長編の形式は意外だったし、内容が「17世紀のフランス宮廷のエロチシズムとその解放」と簡単に言葉で表せてしまうほど全く具体的なストーリーが無いのに、丹念に細かな心理描写が幾つも積み上げられ、最後に解放を表す美しいパ・ド・ドゥまで来ると、理屈無しに何か大きな感動が胸に溢れたのを覚えている。(当時、「これがフランスかぁ」と謎な納得をした。)




さて、今回の『白雪姫』は童話のストーリー通りに場面が進んでいった。何か現代的な解釈があるのかと期待していたので、あまりにそのままの童話の世界に拍子抜けした。
ジャン=ポール・ゴルティエの衣裳も、日本人にはふんどしっぽく見えてしまう白雪姫の衣裳、そしてSM女王そのままの継母。見ていて面白いけど、即物的だった。
舞台装置も過剰な印象だった。白雪姫の棺は石にガラスとシンプルだったけれども、でも、森は普通に森、採掘場も普通に採掘場、金色に光らせた王宮などは、かなり作り込んでいてちぐはぐだった。

ダンス自体よりも、ダンスを取り囲んでいる”舞台装置””衣裳”、そういったもの全てが過剰で余計なものが多く、”ストーリー”の組み立ても斬新さがないことが目について仕方なかった。
バレエは身体の動きだけではつまらなくて、音楽や舞台装置、衣裳、などがあって初めて成り立つ総合的な芸術で、それゆえに、音楽家や建築家、ファッションデザイナーとコラボレーションすることは、常に新しいものを生み出すために不可欠だと思う。けれども、それらがうまく噛み合ってないときには、悲しいことに、ダンスがいかに良かったとしても、つまらなかったという印象が残ってしまう。

これは七人の小人の踊り。



ところで、以下はプレルジョカージュの『白雪姫』にはまったく関係ない話で。

”継母が鏡を覗き込むと白雪姫が映る”

私は継母と白雪姫は時間を超えた同一人物なのだと思う。
継母もかつては白雪姫のように若さに充ち溢れた純粋で美しい女の子であり、それは同時に、白雪姫もいずれは若さを失っていくことを意味している。そして若さを失ったときに新たに現れた若い女性に対し、きっと白雪姫も嫉妬を覚える日が来るだろう。
これは途切れることのない螺旋なのだと思う。
白鳥の湖のオデットとオディールが別人格でありながら、同じバレリーナが一人二役で演じるのは、オデットとオディールが女性の二面性を表しているからである。
同様に、白雪姫と継母も一人の女性の中に存在しうる姿なのではないだろうかと思うのだ。
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by tsutsumi_t | 2012-05-16 20:43 | ダンス


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Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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