英国ロイヤルバレエ『SWAN LAKE』 2012年11月10日マチネ

ロイヤルオペラハウスにて『SWAN LAKE(白鳥の湖)』を友人のミドリちゃんと観る。
当初、この日のオデット/オディールのキャストはローレン・カスバートソンだったのだけれども、彼女がケガで降板し、マリアネラ・ヌニェスが代役で踊った。もともとこの日のチケットを取ったのは、カスバートソンが見たくて取ったので、彼女が見られないのは少し残念だった。


わざわざカスバートソンにこだわったのには理由がある。

私が初めて見たカスバートソンは、アシュトンのアブストラクトな小品『Scene de ballet(バレエの情景)』で、彼女は正確な足さばきで複雑な回転をクールに決め、すっきりと気品があって、私はとても好感を持った。

カスバートソンが日本で紹介されるとき、必ず「英国生え抜きの」とか「英国人唯一の女性プリンシパル」みたいな言葉が付いていて、多国籍化したロイヤルバレエで女性プリンシパルでは唯一のイギリス人であることばかりが強調される。
しかし、確かにロイヤルバレエには個性豊かな女性ダンサーが揃っていて、何度も見るうちに、それぞれのプリンシパルがどんなダンサーか分かってきた。それと同時にカスバートソンの存在感は薄くなっていってしまった。カスバートソンってどんなダンサー?と聞かれたら、やはり「英国人唯一の~」と答えてしまう。だからこう思うのだ。
「実際、カスバートソンってどうなの?」

ついでに言えば、カスバートソンにとって不幸なのは、既に引退したイギリス人女性プリンシパル、ダーシー・バッセルの人気が未だ根強いこと。
日本から旅行でいらっしゃった出版社勤務の知人の方が、「ローレン?ダーシーの代わりなんてまだまだよ。」とおっしゃっていたのを思い出す。
しかも、今年のロンドン・オリンピックの閉会式で、ロイヤルバレエの男性ダンサー4人(ワトソン、コープ、エイヴィス、キッシュ)を従えて火の鳥を踊ったのは、現役の英国人唯一の女性プリンシパルであるカスバートソンではなく、既に引退したバッセルだった。

そんなわけで、ちゃんと古典の全幕ものでカスバートソンが見てみたいなーと思って、わざわざカスバートソンの日を選んでチケットを取った。



のだが、しかし。
カスバートソンはケガ。代役はノリにノってるヌニェス。
「あ~、カスバートソンがリプレイスされてる~。」
と私がぼやいてたら、隣の席のおばさんが、
「あんたっ、不平言うんじゃないわよっ!ヌニェスが見られてラッキーよ!!」
と声をかけてきた。(いや、ヌニェスがすごいのは分かるんですけど、別に彼女のファンじゃないし、私はカスバートソンを見に来たんですよ。。。orz)

ODETTE/ODILE(オデット/オディール): Marianela Nunez(マリアネラ・ヌニェス)
PRINCE SIEGFRIED(ジークフリート王子): Federico Bonelli(フェデリコ・ボネリ)

というわけで、今、ロイヤル・バレエで最も多忙な女性プリンシパル・ヌニェスと、最も多忙な男性プリンシパル・ボネリの組み合わせで白鳥の湖を観た。


結果は、「ヌニェスってすごい・・・!」
技術も芝居も完璧すぎてすごかった。
2幕のオデットでは柔らかなたたずまい、3幕のオディールでは、媚を見せずにジークフリートを威圧して籠絡し、4幕のオデットではジークフリートを守る姿に母性すら感じさせた。
技術的には、数秒間、ずいぶん長いことサポート無しにアラベスクでバランスを取って見せたり、フェッテは3回に1回は必ずダブル。全く危なげなかった。
パーフェクトすぎて怖い。

また、ボネリも完璧だった。
一幕のパ・ド・トロワで、男性ダンサーのジャンプの着地がきちんと5番に降りなかったり、ふらつくことがあったりして、それを見た友人のミドリちゃんが不審がった。
ミドリちゃん:「そういうものなの?それが普通?」
わたし:「う~ん、きちんと着地できるのが理想なんだけど、着地が乱れることはプロでもよくあるよ。」
しかし、ボネリの着地は全て完璧。
それに加え、あのかっこよさ・・・(いやホント、かっこいいですよね)。彼が舞台に出てくるとパァッと明るくなるのは、スポットライトのせいだけではないと思う。これはなんかもう天賦のものって気もするけれど、とにかく何もしなくてももう舞台にいるだけでザザッと彼に視線が集まる。
そりゃ一目で恋に落ちるよねぇ、と納得なのである。


というわけで、The best performance EVER!!!だった。
この組み合わせ、現在のロイヤルバレエの最強の組み合わせだと思う。
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by tsutsumi_t | 2012-11-14 06:02 | ダンス


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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