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マリインスキー・バレエ『白鳥の湖(SWAN LAKE)』ライブビューイング 2013年6月23日

マリインスキー・バレエ『白鳥の湖(SWAN LAKE)』ライブビューイング 2013年6月23日_e0244905_23375513.jpgロシア・サンクトペテルブルグのマリインスキー・バレエが公演を中継するライブビューイングを渋谷のTOHOシネマズで見てきました。
当日に窓口でチケット買えばいいや、と思っていたら、前日にはもう六本木のTOHOシネマズはチケットが「販売終了」でびっくりしました。すぐに渋谷のTOHOシネマズのチケットを確保。今日、客席は満席でした。

ライブ・ビューイング、日本でもかなり行われているんですね。
英国ロイヤルバレエもパリ・オペラ座バレエも映画館への中継をしているので、なんと世界3大バレエの公演が日本の映画館で見れちゃうというわけですね。全ての公演を配信するわけではなく、既に確かな評価を得ている王道のクラシック作品しか中継しないようですが、それでも当然、日本のバレエファンとしては嬉しい限りです。


ODETTE/ODILE(オデット/オディール): Yekaterina Kondaurova(エカテリーナ・コンダウーロワ)
PRINCE SIEFGRIED(ジークフリート): Timur Askerov(ティムール・アスケロフ)


冒頭から、英国ロイヤルバレエとは全く違う!と実感しました。
ロイヤル版はわらわらと人間が走り込んできて細かい芝居しますが、マリインスキー版は舞台に入ってくるのも踊りつつ。あぁ、このバレエ団は確かに踊りを見せてるんだと思わせられます。

演劇大国イギリスの英国ロイヤルバレエのダウエル版SWAN LAKEは、細かな芝居やマイムがかなりの時間続くし、舞台の雰囲気を作る上で重要な要素です。王子と友人たちのふざけあう姿や、王子の悪友たちが気に食わない母・王妃の不機嫌さ、結婚をすすめられた王子の憂鬱などなど、相当な部分が踊りではなく、小芝居やマイムで表現されています。

一方、マリインスキー版は基本全て踊りで、舞台上の人々は常に踊っていて、マイムはほぼありませんでした。目には美しいのですが、ロイヤル版を見慣れた身には、息つく間が無いというか、王子の心情が読み取りにくくもありました。。。第1幕第1場の終盤、村人たちが去っていった後で、王子がいきなり憂い顔になったようにも思えてしまって…。

確かにそれぞれの都市でウケるものは違いそうですし(ロンドンの観客は芝居っぽさが無いと馴染めなさそう)、それぞれの都市の文化の歴史は全く違うのですから、違ってて当然ですね。それをはっきりと感じました。


主役二人はとても美しいダンサーで、長くてスラリとした手足、高い骨格の気品ある顔立ち、美男美女の華やかなオーラ。美しかったです。
コンダウーロワはちょっと美人過ぎるのか、オデットにしてはなんかちょっとだけ過剰に艶な風情なのが気になりましたが…。
湖畔のアダージョでは数か所、明らかなミスがあったようでした。要因は複合的なものでしょうが、何となく二人に身長差があまりないので、アスケロフがパートナーリングしにくそうに見えました。

群舞の呼吸の一致っぷりはさすが。白鳥の群舞はやはりもう一つの主役ですね。舞台全体を大きく使ったそのダイナミックな動きや、滑らかな動きの連鎖に圧倒されました。
(ちなみに、常々思っているのですが、第3幕になると、よく白鳥の群舞に黒鳥が混じりますが、あれはやはり、オデットを奪われる危機を感じたロットバルトに買収されてしまった侍女たちなのでしょうか?オデットの牙城もわりと脆くて哀れです。。。)

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さて、ライブ・ビューイングで楽しいのは、ドキュメンタリーやインタビュー、舞台裏レポートなどが休憩時間に流れること。

今回の公演は、マリインスキー第二劇場が新オープンし、そのこけら落とし的な公演だったようです。「生後たった一カ月の劇場」というような言葉があったので、本当に開場したてなんですね。
ニュースサイトを見ると、その外観が現代的すぎて、周囲から浮いている、と批判が多いようです。正直、日本人には普通に見える建物だと思いますが。(今日、劇場の内装が映りましたが、馬蹄型のそうとう古典的なデザインでした。)ロシアの劇場はかなり保守的なのですね。

上映の冒頭、劇場やマリインスキー・バレエの歴史について簡単な紹介があり、また、主役2人からも新劇場で踊る意気込みが語られました。
その後は女優兼モデルの女の子にインタビューが引き継がれたのですが、この女の子がもー、笑えました。

まずは、英国ロイヤルバレエからマリインスキー・バレエに移籍したザンダー・パリッシュのインタビュー。
白鳥の湖のあらすじについての話や出演者の一人である彼の意気込みなどを聞いていくものの、彼女あまりインタビュアーをしたことがないのか、矢継ぎ早にどんどん新しい質問へ移っていくので、話題があまり深まらず。
そして、パリッシュに「ロシア語は覚えましたか?」と聞き、彼が「友達が教えてくれますし、あぁ、あなたに教えてもらいたいな。」というような感じに切り返したところ、

「Maybe. But now Swan Lake,(もしかしたらね。ところで『白鳥の湖』ですが、)」

…バッサリ。笑ってしまいました。
幕間には、第1幕での出番を終えスーツに着替えたパリッシュと、オデット/オディール役のコンダウーロワの夫であるBaimuradov氏、あとワガノワ・バレエ・アカデミーの出身者の3人をインタビュー。
しかし、インタビュアーの彼女、コンダウーロワの名前をド忘れして、Baimuradov氏に「あなたが言ってちょうだい。」と丸投げ。
パリッシュに第二幕の舞踏会のあらすじを紹介させた後の感想は「Oh no.」(え、それだけ?)。
バッサバッサとインタビュー相手を切り捨てていくところに、ウケました(笑)。


なお、Baimuradov氏は幕間のインタビューのとき、メイクして衣裳を着ていたので、第2幕にでるのかなと思っていたら、スペインの踊りに出演されていました。黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥのときも舞台上からコンダウーロワを見守っていたのが印象に残りました。

また、パリッシュはイケメンで長身&小顔のスタイル抜群。跳躍にも乱れがありません。まだ若いダンサーで、最近では主要な役への抜擢も多いとか。今日はパ・ド・トロワに出演していました。今後が楽しみですね。

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今から275年前にロシア帝国の冬の宮殿の中に作られた舞踊学校、それがマリインスキー・バレエの前身なのだそうです。プティパやチャイコフスキー、そして偉大なダンサーや教師たちが積み上げてきた、バレエの貴重なLegacy。
これからの公演、チェックし続けたいです。
by tsutsumi_t | 2013-06-23 23:39 | ダンス


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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