この夏に読んだ本たち

この夏休み(といっても普通の会社員なので休みはお盆だけですが)、今まで読まなかったタイプの本を幾つか意識的に読みました。
最初はビジネス関係の啓発本を読むつもりでした。「残業しない~~」とか「効率的な~~」とか「相手に伝わる~~」などなど・・・。しかし、それらをパラパラめくったりしたものの、どうにも読む気が起こらず、そんなときにふとなんとなく近くにあったこの本が気になり、読みました。



すべては一杯のコーヒーから (新潮文庫)

松田 公太 / 新潮社

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いわゆるスペシャルティ・コーヒーという、コーヒーの質やコーヒー以外も含めた付加価値に注目したカフェチェーンの一つ、タリーズコーヒー・ジャパンを日本で起業した松田さんの自叙伝。まだ松田さんは若い方なので、まずは事業を十分に軌道に乗せた時点までのお話です。
海外で過ごした幼い頃の話から、起業する前に勤めていた銀行員時代の話、シアトルで探したコーヒーの話、起業してからの苦労話、事業を拡大していく過程で起こった数々のピンチ、そしてコーヒーを通して顧客と向き合う熱い思い、どれもグイグイ読者を引き込む話ばかりで、松田さん自身のパワフルで魅力的な人柄がなんとなく想像付きます。また、自分と一緒に働く仲間たちについてもユーモアを交えて詳しく言及しており、いかにサービス業において「仲間」を重要視しているかが分かります。つらかった話や離れていった仲間の話も、最終的には笑い話や「憎めないな」と思わせるエピソードになっており、前向きな気持ちで読める一冊でした。



グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた (新潮文庫)

辻野 晃一郎 / 新潮社

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タリーズコーヒーの話を読んだ後、こんな感じの本をもう一冊読みたいなと思い、そのまま隣にあった本を買ってみました。ソニーに勤め、その後、グーグル・ジャパンで社長を勤めた辻野さんの自叙伝。
特徴的なのは、辻野さんは企業人である、というところでしょうか。今ではご自分の会社を興されたようですが、この本に記される辻野さんの話の多くが、ソニーで働いた時代のお話であり、最後の方にグーグルでの仕事について語られます。
読んでいて断然面白いのはソニー時代の話。ソニー時代に参加した幾つものプロジェクトについての話は、ライバル他社を意識しながら、実働部隊として前線で戦っていた当時の意気込みがそのまま感じられ、読んでいる方もスリリングな気持ちを味わえます。また、企業人には心当たりがあると思いますが、頻繁に語られる上層部との衝突や理不尽な配置替えなどへの恨み節も、ソニーへの深い愛情の裏返しなのかな、と推測することができそうです。
逆にグーグル時代の話の書きっぷりは、礼賛的であるもののどこか傍観者的な視点に感じられます。トップに立つということは、実務から離れていくことなのかもしれませんね。今は、ご自分の会社を興していらっしゃるそうなので、いずれ、続きが読めるといいです。



一勝九敗 (新潮文庫)

柳井 正 / 新潮社

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ソニーの辻野さんの本の後ろに、「ビジネスの本」として列挙されていた、ご存じユニクロ社長の本。会社員から起業したタリーズの松田さんとも、企業人としてソニーで働いていた辻野さんとも違うのは、柳井さんが意外にも服飾店経営者としては”二代目”だったということでしょうか。ユニクロをスタートされるまで、父親から継いだ紳士服店を基盤に、いろんなショップをオープンしては閉店し、と試行錯誤した時代のことが最初にちょこっと語られます。
読んでいてふと感じるのは、「一勝九敗」というタイトルで、もちろん失敗した話もそれなりに出てくるわりに、あんまり印象としては「負けた」感が無い・・・のはなぜでしょうか・・・?これの前に読んだ2冊はぐいぐい惹き込まれるようだったのに対し、読んでいてもあまり柳井さんの人物像が見えてこないのも不思議です。(感覚的に感想を綴る私も私ですが、)良くも悪くもユニクロの服のような本でした。



渋谷ではたらく社長の告白 (幻冬舎文庫)

藤田 晋 / 幻冬舎

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ここまできたら、ヒルズ族と呼ばれたIT系企業の社長の話も読もうと思い、選んだ一冊。
読んでビックリしたのは、藤田さんご自身はIT系技術者ではないというところ。藤田さんはあくまで営業で事業を大きくしたのであり、この本の内容も、がむしゃらに営業を続けた話が、それを一緒に戦った仲間たちの姿と共に、魅力的に語られます。また、ちょっとスカした感じの人なのかな、と私は予想していたのですが、メディアに現れる自分(彼が意図的に発信している姿ですが)と本当の自分のギャップについての本音や、大見得を切りながらも内心あたふたする話、またあちこちに出てくる、自分を導いてくれた先人たちへの尊敬の眼差しなどからは、藤田さんの率直な人柄が窺えて面白いです。もちろん、経営者としてはそれほど素直に感情を露わにすることはないのでしょうが・・・。この本に書かれている時代の姿は愚直なまでに顧客開拓を続ける姿です。

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さて、どれも休日に一日あれば読み終わってしまう、気軽に読める本でした。
こうして思い返すと、彼らの具体的な手法や思想に感心するというよりは、筆者の人柄に触れるとその本が楽しめる、という私自身の姿勢が分かりました。つまり、これらの本を、ビジネス本というより自叙伝として読んだ、ということなのでしょうか・・・。
「自分を前向きにしてくれる」という点で、非常に役だってくれた本たちです。


なお、私、本はAmazonのマーケットプレイスで買うようになりました。まぁ、まずは節約のために古本で買いたい、という前提ですが・・・。誰かが、

「ウェブが得意なのはマッチング・サービス」

と言っていましたが、まさにその通りだと感じています。
古本屋で欲しい本を見つけるのは至難の技です。しかし、Amazonのマーケット・プレイスならば大抵、古本で欲しい本が見つかります。そして送料込みでも定価よりずっと安く手に入ります。
加えて、残業が多い私は帰宅も24時近く、本屋に寄るのも難しいので、ネットでポチッとすれば数日後にポストに入っているのは非常に便利です。
「誰かのいらないものが、私の欲しいもの」というマッチングをしてくれる、そんなAmazonのマーケットプレイスが非常に気に入っております。
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by tsutsumi_t | 2013-08-31 23:58 | 読書


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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