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小金井薪能『THE KUMANO』2014年8月24日

最近週末にかよっている自動車教習所に貼っていた、『小金井薪能』のポスターに、ギエムの公演「6000 miles away」に出演していらっしゃった健太さんのお名前を見つけました。日本に帰国以来、ダンス公演のポータルサイトなどを見ていて、「おっ、面白そうな公演!」と思うとよくこの方が出演されているので、気になっていました。
この薪能では、能とダンスのコラボレーションが上演されるということで、とても期待していました。

小金井公園の中にある江戸東京たてもの園の前の広場に、仮設の舞台が設置されていました。大きな和太鼓と竹の装飾、素敵な舞台です。そう、能とダンスだけではなく、ヴァイオリンと和太鼓の方もコラボに参加されているのです。
小金井薪能『THE KUMANO』2014年8月24日_e0244905_23350253.jpg

能「高砂」
津村禮次郎
ほか

狂言「六地蔵」
野村万作
ほか

ヴァイオリン独奏「シャコンヌ」
古澤巌

創作「THE KUMANO」
能舞 津村禮次郎
ダンス 健太
旅の青年 伝川光留
ヴァイオリン 古澤巌
和太鼓 佐藤健作
笙 増山誠一
篳篥 久垣壮太郎


能、ダンス、和太鼓、ヴァイオリン、笙と篳篥、と様々なアーティストが参加した「THE KUMANO」、本当に美しく素晴らしい公演でした。夕方から始まったので、始まりの頃は舞台の周りはまだ明るかったのですが、演目が進むにつれて辺りは暗くなり、篝火の煙が舞台の縁を漂い、火の粉がふわふわと客席まで飛んできてまるで蛍のようで、とても幻想的な雰囲気でした。篳篥や笙の音に、最初は蝉が、そして夜が更けてくれば鈴虫の鳴き声が重なり、日本の風土に調和したこれらの楽器をとても懐かしく感じました。


熊野への旅を思い立つ、現代の若者。自分探しの旅なのでしょうか。パーカーを着てバックパックを背負い、東京の武蔵の国小金井を旅立ちます。そして伊勢路を辿りながら、聖地・熊野の古代の神々が起こした数々の奇跡に思いを馳せます。
数々の恋愛遍歴を重ねた和泉式部が熊野を詣でようとした際、あと一歩のところで生理になってしまい、穢れた自分を恥じて引き返そうとしたところ、熊野権現が現れ、彼女の参拝を受け入れたという話。重い病で骸骨になってしまった小栗判官が、骸骨になっても熊野に詣でたい一心で熊野に辿り着き、熊野の湯の霊験により、既に死にとりつかれていたはずの判官が健やかに蘇る話…
そして、幽玄の世界にしばしひたった若者は、また力新たに現代の東京へと歩き去って行きます。


現代の若者は若い能役者さんが演じていて、言い回しは物々しくも、ハリのある若々しい声で演じていて、とても新鮮でした。
物語の中ではヴァイオリンが奇跡の音として使われており、和泉式部に神が現れるとき、ヴァイオリンの音色にのせて津村さんが華やかに舞い、そして小栗判官に奇跡が起こるとき、やはりヴァイオリンの音色にのせてさんがおどろおどろしい骸骨の姿から美しい人間の姿へと再生する過程をダンスで表現していました。この再生の場面ではダンスと能舞のお二人が舞台で共に踊っていましたが、何も違和感を感じず、ただただ美しいと思いました。

能とダンス、様々な楽器を融合した創作舞台。物語の展開も複雑過ぎず、そして、踊りでの表現も、幾つかの場面を組み合わせていることで様々なコラボレーションが楽しめて飽きない構成。いろんな要素がうまく噛み合っていました。舞台の演者のみなさんも超一流の方々、そして舞台を取り囲む小金井の森もパフォーマンスを盛り上げてくれた、素晴らしい舞台でした。

by tsutsumi_t | 2014-09-06 23:39 | ダンス(日本)


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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