ベジャール振付『第九交響曲』 2014年11月9日

父はクラシック音楽を趣味にしていて、日曜の朝には必ずバッハなどのクラシックを流していました。クラシック音楽の派生として、オペラやバレエをよく見ていたようで、振付家でいえば、プティやベジャールの作品を好み、ダンサーでいえば、ヌレエフやバリシニコフ、マカロワ、そして、ギエム、アナニアシヴィリ、マクシモワ&ワシリエフ、など、特に気に入って映像を集めていたようでした。
あまり話をしない人なので、一緒に見たことはないのですが、今では入手困難でアマゾンでも法外な値段が付いているビデオやレーザーディスクを数多く持っているようでした(大人になるまで父がこんなにコレクションを持っていることも知らなかったのですが。)

そんな父ですが、旦那さんと会うと好きなバレエについて語ってくれるときがあり、以前に、「最も素晴らしい作品はベジャールの『第九』だ。」と熱く語っていました。でもその時は(ベジャールって『第九』に振り付けなんてしてたっけ?)と思って聞き流してしまいましたが、半年ほど前、ベジャールの『第九』が東京でリバイバルされるという記事を見つけ、「わぁ、このことだ!」と父の話を思い出しました。

早速、発売日と同時にチケットを購入。指揮者、オーケストラ、オペラ歌手、バレエ団、と一流のアーティストが集う作品なだけに、チケットも超高値。最も安い席(それでも8,000円)を取りましたが、あっという間にお手頃な席は売り切れたようでした。

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東京バレエ団-モーリス・ベジャール・バレエ団共同制作
指揮:ズービン・メータ
演奏:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

幕開け、シンとした会場に向け、ジル・ロマンがドラムと共に、周りの聴衆を踊りへと駆り立てるように情熱的に語ります。コツコツと歩きながらふと体を翻すときの身のこなしがとてもクールで、ジル・ロマン、素敵でした。そしてそれに呼び寄せられた大量のダンサーが渦を巻くように舞台へ駆け込んできて、そしてベートーベンの『第九交響曲』が始まります。
ダンサーには、エリザベット・ロスやジュリアン・ファブロー、東京バレエ団からは上野水香さんや柄本弾さんなどの姿もありました。

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ベジャールの『第九交響曲』には、踊ることへの本能的な欲求・喜びをストレートに感じます。
過去のインタビューにてベジャール本人が、ベートーベンに振り付けることは、バレエ向けに作曲したストラヴィンスキーに振り付けることとは大きく異なっていることに言及しており、バレエ以外のものとコラボレーションすることが、彼にとって最も楽しくてたまらないことであり、新しい道を作り出す手段だったことが分かります。

ベートーベンの『第九交響曲』は、ストラヴィンスキーの『春の祭典』よりも、リズムが秩序立ってゆったりとしているので、ダンスにするには単調すぎるのでは?と思っていました。
しかし、ベジャールは舞台の床に体育館のように丸や四角の図形を描き、その上をダンサーの配置を常に大きく変化させていくことで、舞台全体に大きな波が寄せてくるような力強いパワーを作り出しています。そしてその大きな波が、音楽の秩序と比較的な単調なリズムによって増幅されて、かえって活かされているように感じました。

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会場はNHKホール。NHKホールはアプローチが広々としていて、ホールが近づいてくるのを「ホールに来た!」というワクワク感で感じられていいですね。
久々にバレエ公演を観ましたが、開演までの時間、自分の座席を探し、ベルベットの座席に座って周りの人々を眺めたりする時間、開演時間を高揚感で迎える時間が、とても心地よかったです。

ただ、この作品に限って言えば、もっとスタジアムのような開放的な空間で見れたらよかったかも?と思ったりもしました。そういうイベントには、例えば都庁前とかピッタリじゃないかなぁと思っているのですが、どうなのでしょう?都庁前の広場で、丹下健三の東京都庁を背後に、この作品を見たらなかなか壮大かも?と妄想してみたり。
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by tsutsumi_t | 2014-11-15 21:29 | ダンス(日本)


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Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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