山上憶良をすこしよむ

百人一首をよんでいて、(昔も今も、恋の歌は多いけれど、子への愛を詠った歌は無いのかな?)とふと思ったときに思い出したのが、山上憶良(やまのうえのおくら)です。
確か中学校の日本史の授業で、万葉集の歌人として出てきました。



憶良らは今は罷らむ子泣くらむ
   その彼の母も吾を待つらむそ (山上憶良)

※注:テキトー訳ですが…。
憶良めはもうお暇しましょう。子どもが家で泣いているだろうし、その子の母親も私を待っているだろうから。


ふと思い出したときの歌。
よく覚えてたな…(正確には、上の句しか覚えてなかったですが)。

「憶良」という人名が入ってるところ、「らむ」が何度もでてきて「らんらんらん」とリズムが良いこと、そして、注釈なくても何となく意味が分かるとこ、そんなとこで記憶に残ったのでしょうか。
特にリズムは口に出すととても調子よいのが分かって、歌全体に「ら」がいっぱい出てくるところ、でも下の句の始まりには「ら」が無くて引き締まってるところ、シメも「らむ」となるところ、偶然?偶然なの?いや、狙ってるでしょ?と思います。

宴会を中座したときの歌とのことですが、このとき憶良は60歳代後半…。
あれ?パパの帰りを待つ子どもなんて、もういない歳では…?

おそらくは、宴会を中座するとき場を白けさせないために、ちょっとおどけて口ずさんでみせた歌、というところでしょうか。
「いやもー、アンタそんな子どもいないでしょー」
と茶化す声が聞こえてきそうですね。
場を盛り上げつつ、「んじゃ、オジサンはもう失礼するかね。」とスマートに退席していく姿が思い浮かびます。



瓜食めば 子ども思ほゆ
栗食めば まして偲はゆ
何処より 来りしものそ
眼交に もとな懸りて
安眠し寝さぬ
   (山上憶良)

※注:テキトー訳ですが…。
瓜を食べれば 子どものことが思い浮かぶ
栗を食べれば ますます子どものことが偲ばれる
どんな縁で私のところに来たのか
子どもが目の前にしきりにちらついて
ゆっくり眠ることもできない


この歌、、、泣きたくなりますね。ホロリ。
いろんな解説読んでみたのですが、序文も合わせていろんな解説・解釈がありました。
でも、とりあえずそれは置いといて、じんわりと心に染みてくるのを感じたい歌です。
私も赤ちゃんを前に、「どうしてわたしのところに来てくれたのかなぁ~」なんて思ったりしますが、勝手にそんな気持ちと重ねて味わいました。


この歌には反歌があります。

銀も金も玉も何せむに
   勝れる宝 子に及かめやも (山上憶良)

うん、これも注釈無しでイケますね。
これは現代でもこういう言い方するので(「子宝」とか)、身近に感じますね。


山上憶良の歌は、この子どもを思う歌だけではなく、上司である大伴旅人の妻の死に際して旅人に献呈した挽歌や、謀反の罪を問われて処刑された悲劇の皇子有間皇子を偲んだ歌、社会の教科書に出てくる貧窮問答歌…などなど、そのほか様々なテーマで歌を残しているようです。
扱うテーマの幅広さと特異さを思うと、現代でいうところの社会派な姿を想像させてくれますね。
 
 
 

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by tsutsumi_t | 2017-07-26 21:56 | 読書


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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