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Penhaligon's Iris Prima

Penhaligon’s とEnglish National Balletがコラボした香水、「Iris Prima(アイリスプリマ)」。先日、ついに買ってしまいました。サンプルをもらったときからその香りが気に入っていて、タマラ・ロホがダイレクターを務めるENBゆかりの香り、というのも大きな魅力で、ボーナスを手にしたとき、「よし明日買お。」と決心しちゃいました。

伊勢丹で棚に並ぶ香水のボトルを眺めていたら、すぐにお店の女性が声をかけてくれました。心の中では「もう買うの決まってるけど、ゆっくり眺めたいんだよな〜」とか思いつつ、Iris Primaを買いたいことを告げると、女性が小さいボトルをすぐに出してきてくれました。
蝶ネクタイをした小さいボトル。トゥシューズの底の皮に見立てた、ステッチ付きの皮製のラベルが可愛らしい。

Penhaligon\'s Iris Prima_e0244905_22505428.jpg


試しに手首にワンプッシュしてくれたとき、予想外に柑橘系の香りが刺さるように感じて、「あれ?記憶の香りと違う…?」と思ったものの、欲しい理由は香りだけでは無かったので、そのまま迷わず、お買い上げしました。

しかし、時間が経つにつれて、柔らかい香りになっていって、覚えのあるレザーの馴染んだ香りとか、お母さんの化粧箱の香りとか、そうした懐かしいふんわりと甘い香りへと変化していきました。
ふと香りを感じると心がウキウキして、香水でこんなに気分が高揚するなんて、思いもよりませんでした。お休みの日のお出かけ時だけですが、この香りがいつも自分のまわりで優しく香ってくれたらいいなと思っています。


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人形劇やベジャールの第九など、いろいろ舞台を観るチャンスがあったので、またこのブログにも書きこんでいきたいなと思っています。

# by tsutsumi_t | 2014-11-11 22:54 | ダンス

小金井薪能『THE KUMANO』2014年8月24日

最近週末にかよっている自動車教習所に貼っていた、『小金井薪能』のポスターに、ギエムの公演「6000 miles away」に出演していらっしゃった健太さんのお名前を見つけました。日本に帰国以来、ダンス公演のポータルサイトなどを見ていて、「おっ、面白そうな公演!」と思うとよくこの方が出演されているので、気になっていました。
この薪能では、能とダンスのコラボレーションが上演されるということで、とても期待していました。

小金井公園の中にある江戸東京たてもの園の前の広場に、仮設の舞台が設置されていました。大きな和太鼓と竹の装飾、素敵な舞台です。そう、能とダンスだけではなく、ヴァイオリンと和太鼓の方もコラボに参加されているのです。
小金井薪能『THE KUMANO』2014年8月24日_e0244905_23350253.jpg

能「高砂」
津村禮次郎
ほか

狂言「六地蔵」
野村万作
ほか

ヴァイオリン独奏「シャコンヌ」
古澤巌

創作「THE KUMANO」
能舞 津村禮次郎
ダンス 健太
旅の青年 伝川光留
ヴァイオリン 古澤巌
和太鼓 佐藤健作
笙 増山誠一
篳篥 久垣壮太郎


能、ダンス、和太鼓、ヴァイオリン、笙と篳篥、と様々なアーティストが参加した「THE KUMANO」、本当に美しく素晴らしい公演でした。夕方から始まったので、始まりの頃は舞台の周りはまだ明るかったのですが、演目が進むにつれて辺りは暗くなり、篝火の煙が舞台の縁を漂い、火の粉がふわふわと客席まで飛んできてまるで蛍のようで、とても幻想的な雰囲気でした。篳篥や笙の音に、最初は蝉が、そして夜が更けてくれば鈴虫の鳴き声が重なり、日本の風土に調和したこれらの楽器をとても懐かしく感じました。


熊野への旅を思い立つ、現代の若者。自分探しの旅なのでしょうか。パーカーを着てバックパックを背負い、東京の武蔵の国小金井を旅立ちます。そして伊勢路を辿りながら、聖地・熊野の古代の神々が起こした数々の奇跡に思いを馳せます。
数々の恋愛遍歴を重ねた和泉式部が熊野を詣でようとした際、あと一歩のところで生理になってしまい、穢れた自分を恥じて引き返そうとしたところ、熊野権現が現れ、彼女の参拝を受け入れたという話。重い病で骸骨になってしまった小栗判官が、骸骨になっても熊野に詣でたい一心で熊野に辿り着き、熊野の湯の霊験により、既に死にとりつかれていたはずの判官が健やかに蘇る話…
そして、幽玄の世界にしばしひたった若者は、また力新たに現代の東京へと歩き去って行きます。


現代の若者は若い能役者さんが演じていて、言い回しは物々しくも、ハリのある若々しい声で演じていて、とても新鮮でした。
物語の中ではヴァイオリンが奇跡の音として使われており、和泉式部に神が現れるとき、ヴァイオリンの音色にのせて津村さんが華やかに舞い、そして小栗判官に奇跡が起こるとき、やはりヴァイオリンの音色にのせてさんがおどろおどろしい骸骨の姿から美しい人間の姿へと再生する過程をダンスで表現していました。この再生の場面ではダンスと能舞のお二人が舞台で共に踊っていましたが、何も違和感を感じず、ただただ美しいと思いました。

能とダンス、様々な楽器を融合した創作舞台。物語の展開も複雑過ぎず、そして、踊りでの表現も、幾つかの場面を組み合わせていることで様々なコラボレーションが楽しめて飽きない構成。いろんな要素がうまく噛み合っていました。舞台の演者のみなさんも超一流の方々、そして舞台を取り囲む小金井の森もパフォーマンスを盛り上げてくれた、素晴らしい舞台でした。

# by tsutsumi_t | 2014-09-06 23:39 | ダンス(日本)

『魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展』 2014年7月13日

国立新美術館で開催されている「魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」、関連イベントとして講演会が幾つか開催されていたので、可能な限り聞いてみました。
指揮者の福田氏、舞踊評論家の鈴木晶氏、そして薄井憲二氏。
お三方共に、面白い講演会ではありましたが、やはり最後の薄井氏の講演は、先生の豪放磊落な人柄と、その自由奔放な語り口に隠された冷静な眼差しを感じさせる、素晴らしい講演でした。

『魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展』 2014年7月13日_e0244905_15225809.jpg


お話は、薄井氏のコレクションの中から、貴重な当時のパンフレットなどを見せていただきながら、それらにまつわる興味深い話を聞く感じで進んでいきました。バレエ・リュスの概要については、その前の週に既に鈴木氏が話されていたので、細かい各論を話されるこのスタイルはとても良かったです。


例えば、お話の中で、そういえばそうそう、ちょっと脇道に逸れるんだけどね、といった軽い口調のまま、ニジンスキーの「薔薇の精」について、薔薇の精が最後に飛び去っていくシーンについて、話題に挙げていらっしゃいました。

まずは窓について、
「これはフレンチ窓ですから、床からの高さはせいぜい〜〜cmで」
と解説。それから、ダンサーのジャンプまでのプレパレーションについて、
「ステップは舞台上で5歩だったということですから、少女の場所からこのように〜〜」
と自ら立ち上がってそのステップを実演してみせていらっしゃいました。(私もちゃんとメモすればよかったのですが、記憶あいまいです。この5歩というのは、確か当時のダンサーか当時の上演を見た方の記述を元にされていらっしゃったかと思います。)

その自由奔放な先生の振る舞いに会場は笑いが起こり、そこから薄井氏は飛び去るときの前足は伸びていたのではなく、折れたままだったのだ、という話をなさり、間違って伸びた足で上演しているケースが多いと嘆いたりなさって、そこで会場がまた笑いに包まれるのですが、よくよく考えてみるとこれはかなりじっくり考察するのに丁度良い、興味深い話のようでした。

まずは、舞踊の解釈から考えれば、おそらく、前足が伸びていると薔薇の精がその動作の後には着地することを感じさせますが、前足が折れたままならばそのまま着地することなく、飛んでいくことを観客に感じさせます。
それから、そうした舞踊の解釈や振付のほか、フレンチ窓の話題などは、時代考証や舞台装置への考察であり、舞台上でのダンサーの移動はバレエダンサーの身体の大きさへの考察であり、バレエを創り上げる際に必要な様々な視点を盛り込んだ話でもあります。
この話は何気ない非常に細かい話のように聞こえますが、バレエを様々な着眼点から眺めた話です。

「脇道に逸れるんだけどね、」とおっしゃった話は別に脇道などではなく、薄井氏が意図して、聴衆が分かりやすいよう噛み砕いて、バレエ・リュスの本質を生き生きと説いたものと思います。


聴衆からの質問で、近年のバレエ界がアクロバティックな方向性が評価されすぎているのではないかと、技術偏重についての意見を求められたときの薄井氏の返答もやはり、先生の冷静な視点を改めて感じさせてくれました。

まず、日本のバレエでは、戦後に「白鳥の湖」の全幕が上演され、それが大きなインパクトを与えたために、日本のバレエ界では全幕ものがバレエ、と刷り込みされてしまった。しかし、バレエの新陳代謝のためには、新たな小品を組み合わせて上演するトリプルビルのような上演形態が重要である、という点を指摘されていました。

確かに、トリプルビルは振付家たちの様々なアイディアを試すドラフトワークのようなものであり、そこで試したピースには荒削りながら、新しい試みが見られるものです。

それから薄井氏は、バレエ・リュスの作品はそうした小品を絶えず生み出す形態を取って、どんどん新風を吹き込んだことを説いていらっしゃいました。そして、それらの作品は最初は珍奇なものと見なされることもあるが、新しいものを生み出されるときには必ずそうした反発があるものだ、とおっしゃったようでした。

アクロバティックな作品の中には、その技術が生み出した新しい道が見えるものもあることを示唆し、決して技術偏重の風潮を否定することなく、いろいろな試みの中から、新しい何かが生まれる可能性を説いていらっしゃったのだ、と私は感じました。


私はうーん、すごい、と思わず何度もうなずいてしまいました。
私はなんとなく、年配の方のバレエ・リュスの評論家というと、古き良き時代と往年のダンサーを懐かしみ、現在を否定する方を想像してしまっていたのですが、薄井氏は熱烈なファンの一面を見せて聴衆を笑わせながら、実はその語る言葉はもっともっと冷静で広い視野で現代のバレエおよびダンスの世界までの歴史を見渡していらっしゃいました。

聴衆には薄井氏をよく知る方々も多かったようで、話のところどころで聴衆から笑いの声が上がったり、なんだかアットホームな雰囲気で進みました。それは薄井氏の研究者としての業績を尊敬し、そしてその大らかな人柄を愛している空気を感じました。

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「魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」の展示も楽しくみました。これについては、もう一度、旦那さんと一緒に見に行こうと思っているので、そのときに感想をアップしたいと思います。
# by tsutsumi_t | 2014-07-27 12:30 | ダンス(日本)

English National Ballet 『Lest We Forget』 2014年4月4日

だいぶ前になるのですが、3月末から4月の初めにかけて、ロンドンから本帰国するだんなさんに合わせて、ロンドン〜サントリーニ島〜アテネ〜ロンドン~ドバイと旅行してきました。

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サントリーニ島はまだ観光客が少なく、町のあちこちで石を積んだり白いペンキを塗ったり、来る旅行シーズンに向けて準備中でした。静かな町を散歩したり、地元のお酒を飲んだりしながら、日の入りの時間を待ち、そして島から突き出た昔の要塞跡から夕日を眺めました。
English National Ballet 『Lest We Forget』 2014年4月4日_e0244905_22591914.jpg

昔読んだ、バーナード・ルドフスキーの『建築家なしの建築』に出てきた、白い岩の住居群。いつか訪れたいと思っていたので、バスから見えた島の頂上に、本に出てきたのと同じようなギザギザと見える白い四角の群れが見えたときは、少し胸が熱くなりました。
English National Ballet 『Lest We Forget』 2014年4月4日_e0244905_2301865.jpg

東欧を訪れたのは初めてです。空から見えたギリシャは、こうした岩からできているようなキューブ状の住居でびっしりと埋め尽くされており、それらの建物の乾いた質感は、この土地が砂漠の国へと続いていることを強く感じさせてくれました。

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アテネを観光した後、ロンドンに戻り、ロンドン最後の晩は大好きだったバービカンセンターで、English National Balletの『Lest We Forget』を旦那さんと一緒に観てきました。
芸術監督のタマラ・ロホが4人の振付家に同じテーマ「戦争」で作品を依頼し、舞台を構成したオムニバス公演です。
ホワイエには、バーカウンターで談笑する私服姿のロイヤルバレエのダンサーたちの姿も。公演を観に来た様子で、休憩時間にはロホ自身が彼らのところにきて、話しかけたりしていました。


No Man’s Land
振付:Liam Scarlett(リアム・スカーレット)

Firebird
振付: George Willianson(ジョージ・ウィリアムソン)

Second Breath
振付:Russell Maliphant(ラッセル・マリファント)

Dust
振付:Akram Khan(アクラム・カーン)


公演に先立って、芸術監督のタマラ・ロホ、振付家の一人アクラム・カーン、衣装デザイナーや作曲家、舞台美術の担当者たちによるディスカッション(聞き役はガーディアン紙の批評家ルーク・ジェニングス氏)を聞くことができました。

オムニバス形式の公演を、期待する4人の振付家たちにテーマを与えて、制作していく過程で、ロホが4人の個性強い振付家たちをコントロールするのにいかに苦労したか、誰かのアイディアが他の振付家のアイディアをかぶっていないか、もしかぶりそうだったら、さりげなく別の路線を振付家に提示したり、時には「もう他の人がそれはやってるのよ!」と暴露したり、様々トラブルを乗り越えて、3つのワールド・プレミアを含む4つの作品群をオムニバス公演として実現したか、語られました。
確かに自己主張の強そうな振付家を操るのは容易ではなさそうです。(そもそも幾つかの作品は「戦争」がテーマなのか、ちょっと怪しかったし。)

実は、これらについて詳しい感想を書きたいところなのですが、時差ボケもあって、一番注目していたアクラム・カーンの作品のところでうっかり眠ってしまうという失態(泣)!!!

スカーレットの作品は、ロイヤルからENBに移籍していたコジョカルが出演していました。戦争のストーリーや時代背景を具体的に表現したもので、美しいパ・ド・ドゥや男女ペアが何組も並んで踊る美しい構成でした。しかし、やはり「説明し過ぎ」な感もあり・・・。スカーレットの物語バレエは、いつも詰め込み過ぎで具体なモチーフに頼りすぎているところが残念です。ストーリーの無いバレエだとすごく美しいのに・・・。

「Firebird」は以前のENBの公演「Beyond Ballet Russes」で上演されたものを、改良したものでした。人間の純粋さと欲望をテーマにした分かりやすいストーリーになっていて、バレエの題材として成功しているなぁと感じました。振付家のウィリアムソンはまだ20代前半くらい?のとても若いダンサー。彼自身の話として、パーティーでロホに会ったときに、その場の話題がこのFirebirdの話になって思い切って「「僕がその振付家なんです」と言ったら、ロホは大笑いしたんだ。」と話しているエピソードが紹介されていました。なんとなくロホの豪快な笑いが想像できて、また、厳しいダイレクターが若いダンサーたちにチャンスを与えている場面が想像できて、素敵なエピソードだと思いました。

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さて、もう旅行してから数ヶ月経ち、日本でのだんなさんとの生活もすっかり馴染んで、ずっと前から日本にいたような気分です。ロンドンで出会った友人たちも何人も帰国してきて、東京で集まったりしています。ロンドンにいた時間は本当に長い人生の中で見たら一瞬のことのようですが、こうして友人との付き合いはずっと続けていきたいなと強く思っています。
# by tsutsumi_t | 2014-07-13 23:25 | ダンス

『美笑(MISO)』 Original Korean Musical 2014年2月14日

日本が二度目の大雪に見舞われた先週末、韓国ソウルへ旅行してきました!(飛行機飛んでよかった・・・!)
大学時代の研究室の後輩だった韓国人の友達が、ソウルでの結婚式に招待してくれたので、これを機に2泊3日でソウル市内を観光。初・韓国でした。


快晴のソウルに着いて、明洞のホテルにチェックインしたのは夕方。繁華街の明洞はとても賑やかで、屋台も立ち並び、うきうきする雰囲気。ぶらぶら歩いていろんなお店を外から眺めながら明洞を抜け、市庁の方面へ歩きました。そして、夜に予約していたミュージカルの開演時間まではまだ少し時間があったので、劇場近くの王宮「徳寿宮」をふらりと散歩してみました。

ソウルに建つ宮殿は、両端の庇がキュッと反って粋な雰囲気ですね。色彩鮮やかに保存されていて華やかなところが大陸と同じでしょうか。日本がかつては色鮮やかだった寺社を、風化してゆくままに保存したことが、むしろ独特なのかもしれません。


史跡の中では比較的新しい時代のもののようで、ロシア人建築家がロマネスク様式を意識して設計したという「静観軒」という小さな建物があるのが興味深いです。周囲に縁側のようにベランダがまわしてあるところが、湿度の高いアジアらしいですね。

『美笑(MISO)』 Original Korean Musical 2014年2月14日_e0244905_23493248.jpg


劇場の周りにはかわいいカフェが多く、開演時間までそのうちの一つに入ってみました。世界中のあちこちのコーヒー豆を揃え、サイフォン式に淹れているのが売りらしき小さなカフェ。ハングルなので、店の名前が全く分からないのですが、お店の子も英語で気さくに対応してくれたりして、感じよかったです。


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さて、ソウルで何か伝統芸能が見たいなと思っていたのですが、なかなかそういった劇場は少なくとも地球の歩き方には載ってないのですね…。迷ったのですが、地球の歩き方を読みつつ、一番最初にリストアップされている『美笑(MISO)』というミュージカルを選んでみました。このミュージカルは、伝統芸能を外国人へも分かりやすく見せるための、ツーリスト用のエンターテインメントのようです。


ストーリーは王朝時代の男女の三角関係を描いたハッピーエンドの物語。

『美笑(MISO)』 Original Korean Musical 2014年2月14日_e0244905_00323912.jpg

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若い恋人の春香(チュニャン)と夢龍(モンニョン)。しかし、チュニャンへ横恋慕する身分の高い学道(ハクド)の差し金により、モンニョンは遠くへ旅立ち、二人は引き裂かれてしまう。ハクドはチュニャンを手に入れようとするが、それを拒んだチュニャンは投獄されてしまう。科挙に受かり官吏となって故郷へ戻ってきたモンニョンにより、ハクドは成敗され、チュニャンとモンニョンは末長く幸せに暮らす…。
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ストーリーは始めに全部、日本語や英語、中国語の字幕付きで、歌で語られます。(パンソリ、と呼ばれる伝統的な朗詠?のスタイルだったのだと思います。)その後の舞台は、セリフは全く無く、ダンスや表情、動作だけでストーリーを伝えるシンプルな演出でした。
表情豊かでコミカルな場面を多く入れ、観客には分かりやすかったです。扇や太鼓を使った様々な演舞はとても美しくて楽しめました。色鮮やかな衣裳を見るのも楽しいですね。踊りそのものは日本舞踊よりもずっとアクティブで戦闘的と感じましたが、実際どれほど伝統に忠実にやっているのかは不明です。

ところで、大陸の音楽には金属製のドラみたいなのが付き物で、大小さまざまなものをかしましく打ち鳴らして華やかですが、これは日本には定着しなかったんですかねぇ。この音を聞くと、途端に日本を飛び出てアジアを感じますね。

後日、韓国人の友達に聞いたら、このミュージカルについては知らないと言いつつも、このストーリーが李氏朝鮮時代の有名な古典『春香伝』を下敷きにしていることを教えてくれました。こちらのオリジナルには、チュニャンとモンニョンには身分違いの恋、といった設定も含まれているようです。韓国の人々に愛され続けている、美しい物語ですね。


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さて、二日目は友人の結婚式。ウェディングドレスでの挙式の他に、チマチョゴリでの家族の儀式もちょこっと覗かせてもらって、貴重な体験でした。家族の繋がりを大切にした、美しくて温かな結婚式でした。研究室で一緒だった韓国人留学生たちが何人も来ていて、久々の再会に大騒ぎ。夜は彼らと焼き肉を囲み、楽しい一日でした。

三日目は「景福宮」や「昌徳宮」といった史跡巡りや、「北村」という地域の古い街並みを散歩。
エンジニアとしては、「昌徳宮」でオンドルをじっくり見れたことが良かったです。韓国は現代では温水を回すスタイルの床暖房ですが、古くは床下の土をかまどの排熱で温めたというオンドルの構造はとても興味深かったです。今でも韓国は暖房としては床暖房が主流で、ルームエアコンには冷房機能しか無いのだそうです。(現に、入ったレストランも座敷は床暖房でした。)
そしてそのあと、ロンドンの語学学校で知り合った韓国人の友達とカフェでランチ!およそ2年ぶりの再会に、懐かしくて楽しい時間はこれまたあっという間に過ぎました。


こうして振り返ると、「再会」に尽きた今回のソウル旅行。世界のあちこちで出会った人ともっともっと深く繋がりたい、と帰りの飛行機の中で強く思いました。


# by tsutsumi_t | 2014-02-20 00:35 | ミュージカル


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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