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『シルヴィ・ギエム ファイナルツアー』2015年12月14日

数ヶ月前のある日、家の目の前の市民文化会館にシルヴィ・ギエムのファイナルツアーの看板がかかりました。(※ずいぶん長くブログを書いてなかったのですが、東京から地方へ引っ越しました。。)
「えぇっ、こんな田舎までギエムが来るの!?」
名前も知らない漫才コンビや歌手のポスターに並んで、明らかに異色なギエムのポスター。
ギエムが本当に引退公演で日本中を巡ることを実感しました。

その看板を見つけてすぐの週末に、さっそく市民文化会館の窓口でチケットを購入。地方の公演だからなのか、ぴあでは扱っておらず、市民会館へ直接電話するか窓口で買うか。まさに手で売ってる様子。
だだっぴろいロビーの奥にある事務室の窓口で公演について尋ねると、事務のおじさんが紙に印刷した座席表を見せてくれました。ところどころ座席が黒く塗られてたり赤く塗られてたり。
「うん、これは売れちゃったところ。こっちは予約済みでまだ引き渡してないやつね。」
「…じゃあこの席とこの席、2枚ください。」
「はい、1枚○○円ね~。」
おじさんは座席表のそのマスを鉛筆でぐりぐりと黒く塗りつぶして、封筒にチケットを入れて手渡してくれました。なんだかホンワカするくらいのマニュアルぶり。

チケットを買ったその日は、市民会館では地元のフラメンコ教室などが発表会をやってたらしく、ラテンに着飾って花束をかかえたお母さんたちが立ち話をしており、待ちくたびれた子供たちがロビーを駆け回っていて、なんとものどかな週末だったのを覚えています。

それから数ヶ月、看板を見るたびに、こんな田舎での公演で、こんなのんびりしたチケットの売り方で、ちゃんと席が埋まるのかなぁ…なんて思ったりしてたけど、当然のごとくチケットは売り切れ、当日は本当に満員でした。
駅から市民文化会館まで、ちょっとおしゃれした人々がぞろぞろと歩いており、いつもは静かな町がにぎやかな雰囲気でした。

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In the middle somewhat elevated
振付: ウィリアム・フォーサイス
ダンス: 東京バレエ団

two
振付: ラッセル・マリファント
ダンス: シルヴィ・ギエム

dream time
振付: イリ・キリアン
ダンス: 東京バレエ団

blero
振付: モーリス・ベジャール
ダンス: シルヴィ・ギエム、東京バレエ団

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東京バレエ団が踊った作品二つ。
『in the middle somewhat elevated』と『dream time』。
断然、『dream time』の方が日本人の踊りに合っているなぁと感じました。

『in the middle somewhat elevated』は、かっこよくて何度もYoutubeで見てしまうほど大好きです。しかし、パキパキとどんどん折り紙を折っていくかのような動きの変化に対して、ダンサーたちが、真面目に正確にこなそうとしているかのようで、ちょっと窮屈に見えました。正確に紙の端と端を合わせようとするような窮屈さ・・・。日本人の律儀さが垣間見えたような。ギリギリのバランスを保つシーンも、日本人は身体が小さいせいか、あまりその危うさが伝わらず・・・。
ギエムが東京バレエ団に挑戦するよう勧めた、とのことでしたが、振り付けが日本人にあまり合っていないのではないかなぁと思いました。

一方、『dream time』では流れるようなゆったりとした動きに肩のラインがのびやかで、とても美しかったです。前者の作品では気になった身体の小ささが、こちらの作品では全く気にならず。振り付けがダンサーの個性によく合っていた、ということではないかしら?と思いました。


ギエムが踊った作品二つ。
『two』では、照明で照らされた小さな四角いスペースで、ギエムが手をしゅしゅしゅっと振り回す、ただそれだけの振り付けなんだけど、全てを照らさない神秘的な照明で、ギエムの手の残像が印象的でした。
マリファントはこれを最初は自分の奥さんに振付けたそうですが、今回ギエムが踊るにあたり、だいぶ改訂したそうです。どのへんが変わっているんでしょうね?知りたいです。
マリファントの作品は、動きの面白さを追求している風で、バレエの振付家とは一線を画していて、新鮮に見ることができますね。

そして最後は『ボレロ』。
何度もYouTubeで見たけれど、生は当然初めて!
ギエムの体、本当に均整のとれた美しい体なんでしょう!!いつまでも変わらない美しい姿でした。(でも本人の中にはやはり変化があるのでしょうか。だから引退なんでしょうけど…。)もうギエムのオーラ、すごいよね、としか言いようがなく。


ギエムの全盛期に比べると何かが劣るのかもしれませんが、私には全く分からず。
思えば私は、トゥシューズを履かなくなってからのギエムしか、生で見たことないのです。体力的には全盛期であったであろうトゥシューズを履いていた時代、その時代のギエムも見てみたかったなぁ。。とふと思いました。
しかし、多くの振付家が彼女に振付けたがった、という話をよく聞きますが、いまこうしてファイナルツアーなどの演目を見ると、アクラム・カーンなど、たったいま活躍している振付家も多くて、彼女がキャリアの終わりに近づいても新たな挑戦を続けていたことが分かります。
by tsutsumi_t | 2016-01-02 12:43 | ダンス(日本)

ベジャール振付『第九交響曲』 2014年11月9日

父はクラシック音楽を趣味にしていて、日曜の朝には必ずバッハなどのクラシックを流していました。クラシック音楽の派生として、オペラやバレエをよく見ていたようで、振付家でいえば、プティやベジャールの作品を好み、ダンサーでいえば、ヌレエフやバリシニコフ、マカロワ、そして、ギエム、アナニアシヴィリ、マクシモワ&ワシリエフ、など、特に気に入って映像を集めていたようでした。
あまり話をしない人なので、一緒に見たことはないのですが、今では入手困難でアマゾンでも法外な値段が付いているビデオやレーザーディスクを数多く持っているようでした(大人になるまで父がこんなにコレクションを持っていることも知らなかったのですが。)

そんな父ですが、旦那さんと会うと好きなバレエについて語ってくれるときがあり、以前に、「最も素晴らしい作品はベジャールの『第九』だ。」と熱く語っていました。でもその時は(ベジャールって『第九』に振り付けなんてしてたっけ?)と思って聞き流してしまいましたが、半年ほど前、ベジャールの『第九』が東京でリバイバルされるという記事を見つけ、「わぁ、このことだ!」と父の話を思い出しました。

早速、発売日と同時にチケットを購入。指揮者、オーケストラ、オペラ歌手、バレエ団、と一流のアーティストが集う作品なだけに、チケットも超高値。最も安い席(それでも8,000円)を取りましたが、あっという間にお手頃な席は売り切れたようでした。

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東京バレエ団-モーリス・ベジャール・バレエ団共同制作
指揮:ズービン・メータ
演奏:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

幕開け、シンとした会場に向け、ジル・ロマンがドラムと共に、周りの聴衆を踊りへと駆り立てるように情熱的に語ります。コツコツと歩きながらふと体を翻すときの身のこなしがとてもクールで、ジル・ロマン、素敵でした。そしてそれに呼び寄せられた大量のダンサーが渦を巻くように舞台へ駆け込んできて、そしてベートーベンの『第九交響曲』が始まります。
ダンサーには、エリザベット・ロスやジュリアン・ファブロー、東京バレエ団からは上野水香さんや柄本弾さんなどの姿もありました。

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ベジャールの『第九交響曲』には、踊ることへの本能的な欲求・喜びをストレートに感じます。
過去のインタビューにてベジャール本人が、ベートーベンに振り付けることは、バレエ向けに作曲したストラヴィンスキーに振り付けることとは大きく異なっていることに言及しており、バレエ以外のものとコラボレーションすることが、彼にとって最も楽しくてたまらないことであり、新しい道を作り出す手段だったことが分かります。

ベートーベンの『第九交響曲』は、ストラヴィンスキーの『春の祭典』よりも、リズムが秩序立ってゆったりとしているので、ダンスにするには単調すぎるのでは?と思っていました。
しかし、ベジャールは舞台の床に体育館のように丸や四角の図形を描き、その上をダンサーの配置を常に大きく変化させていくことで、舞台全体に大きな波が寄せてくるような力強いパワーを作り出しています。そしてその大きな波が、音楽の秩序と比較的な単調なリズムによって増幅されて、かえって活かされているように感じました。

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会場はNHKホール。NHKホールはアプローチが広々としていて、ホールが近づいてくるのを「ホールに来た!」というワクワク感で感じられていいですね。
久々にバレエ公演を観ましたが、開演までの時間、自分の座席を探し、ベルベットの座席に座って周りの人々を眺めたりする時間、開演時間を高揚感で迎える時間が、とても心地よかったです。

ただ、この作品に限って言えば、もっとスタジアムのような開放的な空間で見れたらよかったかも?と思ったりもしました。そういうイベントには、例えば都庁前とかピッタリじゃないかなぁと思っているのですが、どうなのでしょう?都庁前の広場で、丹下健三の東京都庁を背後に、この作品を見たらなかなか壮大かも?と妄想してみたり。
by tsutsumi_t | 2014-11-15 21:29 | ダンス(日本)

東京バレエ団 『ザ・カブキ』 2013年12月15日

e0244905_2222381.jpg日本に帰国したら絶対に観ようと思っていたモーリス・ベジャール振付「ザ・カブキ」。東京文化会館にて見てきました!すごくすごくすごく良かった・・・!!日本でこの作品が踊られてるってことが嬉しかったです。

大星由良之助: 森川茉央
顔世御前: 渡辺理恵

赤穂浪士の討ち入りのストーリーの、討ち入りという情熱に青春を燃やし、切腹していく若者たちの姿にフォーカスした点、鬼才だと思いました。

時代は現代。若者たちが享楽の日々に明け暮れている。その中の一人の若者が、ふと刀を手にしたことから、彼は過去・南北朝時代へとタイムスリップしていく。塩谷判官の刃傷事件に至るまでをあくまで現代人として外から眺めていた彼は、塩谷判官の切腹に際し、彼の遺言を聞いたその瞬間から、大星由良之助として生き始める…


面白い設定ですね。
塩谷判官と大星由良之助(現代人)の関係を希薄にしたことで、赤穂浪士のストーリーから「忠義」の部分をばっさりと排除したのではないでしょうか。そして、47人が討ち入りに突き進む姿を命の輝きのように強調して描きたかったのではないでしょうか。
現代の若者が大星由良之助になった瞬間、普通の一日の繰り返しだった毎日が、一つの強烈な目的とそれを共有する仲間を得て、ものすごい勢いで燃えて輝き始めたような印象を受けました。

ベジャールが日本で歌舞伎の仮名手本忠臣蔵を見て、さらにその背景を学んだ過程で、彼に一番響いたのは日本人の「忠義」ではなく、討ち入りに突進していく狂信的な集団のイメージだったのかもしれないな、と思いました。

ダンスや衣裳もいろいろな工夫がされていて、女性の着物の裾を黒子が広げたり、ダンサーが大きな動きをするときはその衣裳を黒子がサラリを取ってダンサーを自由にし、また黒子が着せかけてあげる、など、黒子の扱いが面白かったです。これなら裾の長い衣裳でも美しく自由に見えますね。


モデルとなった江戸時代の実際の大石内蔵助は、お家のお取り潰しから討ち入りまでの時間の多くをお家再興のために費やしたそうですね。お家再興の望みが消えたときに、それまで仇討ちを主張していた部下たちに協調し、討ち入りの決行を決意したとか。討ち入りをした部下たちの中には、職を失い、もうそれしか道が無い者も多かったのかもしれませんね。

東京バレエ団のレパートリーにベジャール作品が定着しているのは、日本の幸運ですね。もう一つ、ベジャールの「M」も観たいなと思っています。早いうちに再演してくれないかな。
by tsutsumi_t | 2013-12-22 22:02 | ダンス(日本)


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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