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フィリップ・ドゥクフレ カンパニーDCA『CONTACTーコンタクト』 2016年10月29日(土)

少し前になりますが、フランスの振付家フィリップ・ドゥクフレとそのカンパニーDCAによるダンス公演『CONTACTーコンタクト』を、友人のタケさんと観てきました。
古典作品『ファウスト』をモチーフにした、歌あり、踊りあり、コントあり、アクロバットあり、何でもありな、ポップなミュージカル。

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フィリップ・ドゥクフレ氏…、1992年のアルベールビル冬季オリンピックの開会式・閉会式の演出を弱冠31歳で手掛けた才能ある振付家、とのことですが、正直なところ事前には知りませんでした。この公演についても、全く情報を掴んでませんでしたが、友達のタケさんにお誘いいただいたとき、
「彩の国さいたま芸術劇場は、見に行くと大抵満足できるし^^」
と思って、即、ご一緒することにしました。

改めて、彩の国さいたま芸術劇場の舞台、小さめの規模、それでいてトイレやクロークが整っている感じ、 無駄な装飾の無い内装、いい感じの劇場だなーと思います。
惜しいのは、周囲にカフェが無いこと。待ち合わせに使ったり、観た後に友達とおしゃべりしたり、そんなカフェがあるといいのになー。

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さて、『CONTACTーコンタクト』。
あまり深く考えず、その時その時の掛け合いとか、フランス語の響きのオシャレな感じとかを味わいつつ、楽しめました。
ただ、もう見始めてすぐ、

「あー、この感じ、ピナ・バウシュだー…」。

レトロなワンピースにハイヒールの女性ダンサーが 、踊りつつ、歌いつつ、ナンセンスなセリフを繰り返し発したり、とにかく意味分かんない感じ。
もろ、ピナ・バウシュ意識してるなー、と思いました。

もちろん、演出家の言葉として「ピナ・バウシュへのオマージュの気持ちを作品にしたい」とパンフレットにも書いてあったので、心の準備はできてたのだけど、
「未だにヨーロッパではピナ・バウシュの喪失感が漂ってるのかしら…?」
と意外な気がしました。
ピナ・バウシュが亡くなってから随分経ったような気がしていたので。

日本で何かの展示のムービーなどで見るピナ・バウシュの作品は、美しいシーンだけが切り貼りされていることが多くて、「あら、ステキ!」なんて思ったりするのですが、いざ、舞台でピナ・バウシュの作品をフルレングスで見たりすると、「???」なナンセンスなシーンや、全く音楽性の無いもの、がひたすらひたすら続いて、果てには飽きてしまうことも多々あります。
ロンドンで公演を見たときには、観客が途中で帰ってしまったり、ヤジが飛んだりすることもあったっけ…。

ただ、そんなノリも久々だと懐かしい。
『CONTACTーコンタクト』は長すぎないので、ピナ・バウシュ食傷気味にもならず、フレンチなおしゃれアレンジを楽しむことができました。


そして、この作品のモチーフは『ファウスト』です。
『ファウスト』…。これまた、苦手分野なんですよね。。。
ヨーロッパの舞台作品や映画などで、何らかの形で『ファウスト』を引用してたりする作品って、とっても多い気がします。
そして観るたびに、
「あれ?ファウストってどんな話だっけ…?ゲーテ?えー、長そう。。事前に読むって無理ー。。。」
と、いっつも思ってます。
我々日本人には『ファウスト』って題名くらいしか知らなかったりして、全く馴染みが無いんですが(って、ちゃんとした演劇人や舞台関係者は勉強してるのでしょうけど)、でもヨーロッパでは相当な数の作品の題材になるほど浸透してるんですよね。たぶん彼らにとっては、『ファウスト』って、日本人にとって『ドラえもん』くらいの感じで、すごく身近なんじゃないかな。
ファウストの欲望をかなえるメフィストフェレスは、日本人にとっての”ドラえもん”なのではないでしょうか。ちょっと軽すぎるけど、そんな理解です。

 



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出産したらなかなか劇場に行くのは難しそうなので、この舞台が見納めかな。しばらくお預けになりそうです。
臨月も正産期に入り、ドキドキしながら過ごしています。
ちょっと前までは近くのショッピングセンター内のスタバまで歩いて行って、カフェで本読んだりすることができていたのですが、最近はそれも苦しくなってきました。
買い物はネットスーパーを使い、日中は慣れないお裁縫をしてみたり、家の中を整理したりしています。



by tsutsumi_t | 2016-11-30 18:25 | ダンス

『DUST-ダスト-』 2016年1月30日

彩の国さいたま芸術劇場にて、イスラエルのダンスカンパニー、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラックによる『DUST-ダスト-』を、タケさんと一緒に見てきました。
初めて行った劇場なのですが、大きすぎない舞台、装飾の少ないシンプルな客席、グレーチングような手すりなど、いい雰囲気の劇場だな、と思いました。

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5人のスモックを来た男女が机に座っている。学校の教室のような舞台。子供たちはいっせいに愛らしい仕草で踊り出す。彼らは混乱の真っ只中にいるらしく、わらわらと騒がしく動きまわる。
青いスーツを着た先生らしき出で立ちの男性。痩せっぽちの彼の足元は酔っ払いのようにフラフラとして危なっかしく、子供たちを統率するかに見せて、まったくもって頼りない様子。彼の後ろにくっついて一瞬秩序立ったかに見えた子供たちは、簡単な刺激で混乱した渦巻きのような騒ぎに戻ってしまう。
そして死神のような男。舞台をオロオロと徘徊したり、隅っこでじぃっと皆を眺めている彼。

舞台の隅にぐちゃぐちゃに重なりあって積み上がった紙のタワーは、危ういバランスを保つこの世界そのもの。紙のタワーは死神によって崩され、紙片は空中に舞い上がり、やがて床の上に力なく散らばって落ちる。
全てが塵「DUST」になってしまった、絶望的な世界。
まるで津波が押し寄せ教室が海に飲み込まれたかのように、子供たちはゆらゆらと浮かぶように踊る。

しかし、いつしか、どこからか持ち込まれた木の棒で互いに繋がり合い、そして、散乱した紙片の上をぐるぐると歩きながら、やがて自分たちの宿るべき新たな構造体を組み上げる。舞台の上では、悲劇的な状況に陥った人を見捨てず、少しだけ明るい未来が来ることを感じさせて、幕を閉じる。

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フラフラとした先生は、本来信頼しうるはずの大人が、実は子供たちと同様に頼りないという事実を示唆しています。
でもそんなことは現代社会の中でいくらでも遭遇しうる状況。ニュースを見れば、逮捕される教師、罪を犯す警察官、うつ病を病む父親、知識の不足した専門家…、いくらでも信頼できない大人は存在しています。
…既に自分が大人になった今、舞台上のフラフラとして頼りない彼を避難するのはどことなく心が痛むのはなぜでしょうか。既に私も自分が信頼するに足らない大人の一人であることを知っているからでしょうか…。
でも舞台上では、塵の上にみんなが宿るための構造物が組み上がることで、塵からでも何かが生み出せる、そんな暖かなメッセージを感じさせてくれました。

それぞれのダンサーが得意らしき動きがよく組み込まれていて、ダンサーたちがクリエーションに加わって作り上げたことがよく分かりました。模造紙を用いたアニメーションの投影や、木の棒を用いたシェルターのイメージなど、手作り感のあるダンス。
試行錯誤の跡があちこちにあり、いろんな振付家の影響も。始まりの机のシーンはどことなくケースマイケルのローザスみたいにポップな感じで、「おっ、オシャレ系?」とか思ったりもしました。
舞台はずっと教室のままなのですが、机の棚を開いて中に身体を突っ込むと(ドラえもんみたい笑)、別世界に入ってしまう…という表現は、少ない舞台装置の中で、世界を広げて見せる面白いアイディアですね。

このダンスの大きな見所は、森山未來が出演しているところなのですが(プログラム見るまで気付いてなかったけど)、彼は文化庁から派遣されてイスラエルのダンスカンパニーに参加して、創作活動に加わっていたそうです。
昔、テレビでジャズダンスを披露してたときは、俳優さんが演技の幅を広げるためにやってるのかなぁ、くらいにしか見てなかったのだけど、こうして試行錯誤してダンスを生み出し、プロフェッショナルなダンサーとして披露している姿を見ると、この数年の彼のたゆまぬ努力を感じました。
by tsutsumi_t | 2016-02-11 23:47 | ダンス(日本)


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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プロフィール

Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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