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英国ロイヤルバレエ『ジゼル』 2016年6月26日(日)

3年にいっぺんくらいでやってくる英国ロイヤルバレエの日本ツアー。
今年は『ジゼル』と『ロミオとジュリエット』。
『ロミオとジュリエット』は役も多くて、主役以外の見どころも多いので、「あ、あの人があんな役に!」みたいな楽しさが味わえそうだなぁと思いましたが、ロイヤルの『ジゼル』は観たことがなかったこともあって、迷った挙句、『ジゼル』にしました。
気品あふれる長身のムンタギロフで見たいなぁと思ったものの日にちが合わず残念でしたが、こちらも大好きなカスバートソン&ボネリ組で観てきました。もちろんボネリは舞台に出るだけで華やかかつ憂いがあり、明るい雰囲気のカスバートソンも1幕のジゼルに合いそうだし、2幕でどのように変身するかなぁと思いながら、楽しみにしていました。

ダンナさんと一緒に昼ごろ上野へ向かい、お昼を食べてから東京文化会館へ。
何度来ても心うきうきする東京文化会館。
プログラムを買い、階段を上がって席に座り、ダンナさんとふたりでプログラムをめくる。今回のキャストは、こんな感じ。

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ジゼル; ローレン・カスバートソン
アルブレヒト; フェデリコ・ボネリ
ヒラリオン; ベネット・ガートサイド
ベルタ; エリザベス・マクゴリアン
ミルタ; 小林ひかる

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村人のパ・ド・シスの中に、今回ツアーの直前にプリンシパルに昇進したフランチェスカ・ヘイワードが出ていて、ちょっと美味しかったです。肌が少し浅黒く、小柄でキュッと引き締まったダンサーで、舞台に出るとパッと目を引きます。(高田茜さん、平野亮一さんのプリンシパル昇進も日本ツアー直前に発表されて、すごく盛り上がりましたね^^)
また、小林ひかるさんの産休からの復帰も話題の一つ。ご主人のボネリと同じ舞台上にいるのは何気に初めて観るかもしれません。小林さんは、踊っている最中にヴェールが落ちてしまうというハプニングがあったのですが、無理に拾うことなく一通り踊ってから、ウィリたちを呼び寄せる段階で、ゆったりとヴェールを拾い、腕にふわりとかける。
「あれ?こういう演出だったのかも?」
と思ってしまったほど自然でした。さすがです。
キーンと冷たい風情も、小林さんの醸し出すオーラとぴったり。素敵な踊りでした。

そして、カスバートソンとボネリ。
2幕でアルブレヒトが白い花を抱え、うなだれて森へ歩いてくるシーン。ボネリで観てよかったーと思いました。喜劇ならマックレーとかで観たいけど、悲劇だったらボネリよね。。哀しみにくれる姿があまりに美しかったです。

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1幕のジゼルの狂乱シーンについて、プログラムに載っているデイリー・テレグラフ紙の、振付家ピーター・ライトへのインタビューでは、
「私はこれば、ジゼルだけでなく、全員にとっての狂乱の場であって欲しいのです。村全体が、混乱に陥るということです。」
とライトは述べており、それが効果的に表現されていると思いました。
村人たちや公爵たち、ジゼルの友人といった、背景のような人々まで作り込まれていて、全体が渦巻きに襲われていく。
特にアルブレヒトに裏切られて正気を失ったジゼルが自らを刺して息絶えてた瞬間から、ジゼルと母親のベルタを残して皆が散り散りになって、幕が降りるまでがすごい。

混乱の中でまずは、公爵たちが関わりを持つまいと、足早に立ち去っていく。
村の老人たちも不気味なものを見たかのようにそそくさと立ち去っていく。
アルブレヒトがヒラリオンと揉めている間にも混乱した村人たちが散り散りに走り去っていき、ジゼルに寄り添っていたジゼルの女友達も、アルブレヒトに押し退けられると、怒りを露わにし走り去っていく。
放心していたベルタがよろよろと立ち上がり、ジゼルの亡骸にすがりつくアルブレヒトを突き離す。
アルブレヒトは従者にマントごと無理やり引き離されて連れ去られていく。
ヒラリオンもベルタに拒絶され泣く泣く立ち去る。
そして最後に、ジゼルの亡骸を抱いたベルタが独り残り、幕が降りる。

舞台上の誰もが偶発的に動いているように見えながら、きっと何度演じても同じように再現できるのではないでしょうか。一人一人に与えられた、混乱の演技があるのでしょう。
混乱の絶頂から、最後のジゼルとベルタの孤独な姿までほんの1分。
踊りも無いし、美しい場面でもないけれど、ショッキングな場面を主要登場人物人物の動きだけで説明するのではなく、背景のような脇役たちが場面全体を創り上げている強烈な場面です。


ちなみに、ライト版の狂乱シーンは、YouTubeで見ることができるコジョカル&コボーの映像とほぼ同じ。村が混乱に陥るのは7:09あたりから。




英国ロイヤルバレエはこういう芝居の場面が上手だな、と思います。
振付家は違うけど、マクミランの『ロミオとジュリエット』における広場での乱闘シーンも、こんな風に背景の人々の芝居が面白いシーンです。また『白鳥の湖』のような舞台でも、1幕1場ではこうした背景の人々の芝居が凝ってて見飽きないです。
英国ロイヤルバレエの持ち味だとつくづく感じます。
by tsutsumi_t | 2016-07-23 22:09 | ダンス

ハンブルク・バレエ『真夏の夜の夢』 2016年3月13日

ジョン・ノイマイヤー率いるハンブルク・バレエのツアー。日本初公開の「リリオム」、ノイマイヤーの初期の名作「真夏の夜の夢」、あとはガラ公演。最初は新作だし、大好きなコジョカルが客演する「リリオム」のチケットを買おうと思ってたんだけど、シェイクスピア通のタケさんから、

「ぜったい"A midsummer night's dream"がオススメ!通常版を知ってる人には衝撃的だと思う。なのに、シェイクスピアが表現したかった世界がどの版よりも忠実に再現されてるのは、ノイマイヤー版だよ!」

との熱いアドバイス。
世界中で舞台を見ているタケさんがこれだけ言うなら絶対間違いないと思って、「真夏の夜の夢」にしました。
http://www.nbs.or.jp/stages/2016/hamburg/midsummer.html

実は昔ロンドンで英国ロイヤルバレエのアシュトン版のチケットを買ったものの、当時、友人たちで参加していたアートフェアの準備で行けなくて、チケットを会社の友人に譲ってしまったので、いわゆる通常版?も観たことがないんだけど。。。(でも確かこのアシュトン版の「真夏の夜の夢」の公演のとき、ポルーニンのロイヤル退団騒動が勃発したんだった…。)

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ホールは東京文化会館。このホール大好き。
上野駅から見える大きく張り出した庇や、渋いコンクリートの色合い、エントランスからホールまで無駄が無い導線でありながら豊かな体験ができる空間、ホール内部の躍動感ある装飾…、さすが巨匠・前川國男のデザイン。駅を降りてから席に座るまでの道のりで豊かな気持ちになれるホール、貴重だよね。。

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ヒッポリタ/タイターニア:エレーヌ・ブシェ
ヘレナ:シルヴィア・アッツォーニ
ハーミア:フロレンシア・チネラート
デミトリアス(士官):アレクサンドル・リアブコ
ライサンダー(庭師):エドウィン・レヴァツォフ
シーシアス(アテネの大公)/オベロン:ウラジーミル・ヤロシェンコ(ゲスト・ダンサー)
パック:アレクサンドル・トルーシュ

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「真夏の夜の夢」には、高貴な貴族たちの世界、召使や職人たちの庶民の世界、森の妖精たちの神秘な世界の3つの異なる世界が存在しています。貴族たちと庶民の世界はもちろん同じ人間の世界なんだけど、妖精たちの世界は時空が異なっていて、でもその時空が微妙にゆがんでオーバーラップする瞬間があり、そこに若き日のノイマイヤーの情熱と知恵が凝縮されているように思います。

3つの世界は音楽や衣装、ダンスのスタイルまで異なっていて、貴族の世界は、クラシック音楽に、中世風な衣装、クラシックなスタイルのバレエで進んでいきます。
庶民の世界は、オルガンやアコーディオン、太鼓などでカーニバルのようにかしましく賑やかに奏でられ、衣装も中世の質素な服装、ダンスというよりもコメディ調のドタバタ劇が繰り広げられます。
妖精たちの世界は一変、スモークがかかったかと思うとガラリと現代音楽に変わり、妖精たちはシルバーのツヤツヤなレオタードに身を包み、何やら感情があるのかないのかもよく分からない無機質なコンテンポラリー・ダンスを見せます。まるでロボットか宇宙人みたいな…。

ときおり人間の世界と妖精の世界は時空のゆがみでお互いが垣間見えたりして、そんなときはカーニバル音楽がゆがんで聞こえてきて、スモークの向こう側にスローモーションになった職人たちの動きが見えたりします。

物語では、時空のゆがみを乗り越えて妖精の世界に迷い込んでしまう人間たち。ヘレナ、ハーミア、デミトリアス、ライサンダーの4人。
四角関係に陥っている彼らの関係に一役買おうと、余計なことをするイタズラ者の妖精パック。
ただ、パックには全てが見えるのに、人間たちには妖精の姿が見えないよう。。。パックが盛んに人間にいたずらを仕掛けるも、みんなパックに気付かない。パックのいたずらせいで一層こんがらがる人間関係。

一方、パックは妖精の女王タイターニアにもイタズラしちゃう。
女王のまぶたに惚れ薬を塗り、それゆえに、目覚めた女王は、これまた妖精の世界に迷い込んでロバの頭をかぶらされてしまった職人ボトムに一目惚れ。ロバ相手に本当にヤッてしまう、というオドロキの展開!
猛烈にロバ頭の職人ボトムに襲い掛かってて、欲望のままに動いて快感を貪る姿が、スゴかった…。
普通にコンテンポラリー・ダンスとしても面白い表現というか。。。こういうちょっと卑猥な表現も、シェイクスピアに忠実といえば忠実かもしれませんね。

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ダンサーはこの日、オベロン役に代役でポーランド国立バレエ団のウラジーミル・ヤロシェンコが出演。
この物語の最後は、妖精の王様オベロンが魔法で全てを解決するんだけど、「代役か~~」と思いつつ観たヤロシェンコが一番印象に残ってたりします。
大きくてたくましいオベロン。シルバーのレオタードも周囲の妖精より、よりツヤツヤで、威厳たっぷり。頼もしい踊りでセクシーでした。意外だったなー。周りでちょこまか動いてるパックと比べて観るからかな?
パックも良かったです。かわいらしくて憎めないキャラクター。インタビュー記事見るとヒゲ面のお兄さんなのに、舞台ではかわいかったなー。

結果として、ノイマイヤー版「真夏の夜の夢」見て良かったーー。人生で絶対に観ておきたい。観ようかな~って迷ってる人がいたら絶対オススメしちゃうなぁ。ノイマイヤー35歳のときの作品ということで、若いからこその衝撃的なチャレンジがそこかしこにあって、創意工夫溢れる名作だと思いました。

 
by tsutsumi_t | 2016-04-16 21:25 | ダンス

東京バレエ団 『ザ・カブキ』 2013年12月15日

e0244905_2222381.jpg日本に帰国したら絶対に観ようと思っていたモーリス・ベジャール振付「ザ・カブキ」。東京文化会館にて見てきました!すごくすごくすごく良かった・・・!!日本でこの作品が踊られてるってことが嬉しかったです。

大星由良之助: 森川茉央
顔世御前: 渡辺理恵

赤穂浪士の討ち入りのストーリーの、討ち入りという情熱に青春を燃やし、切腹していく若者たちの姿にフォーカスした点、鬼才だと思いました。

時代は現代。若者たちが享楽の日々に明け暮れている。その中の一人の若者が、ふと刀を手にしたことから、彼は過去・南北朝時代へとタイムスリップしていく。塩谷判官の刃傷事件に至るまでをあくまで現代人として外から眺めていた彼は、塩谷判官の切腹に際し、彼の遺言を聞いたその瞬間から、大星由良之助として生き始める…


面白い設定ですね。
塩谷判官と大星由良之助(現代人)の関係を希薄にしたことで、赤穂浪士のストーリーから「忠義」の部分をばっさりと排除したのではないでしょうか。そして、47人が討ち入りに突き進む姿を命の輝きのように強調して描きたかったのではないでしょうか。
現代の若者が大星由良之助になった瞬間、普通の一日の繰り返しだった毎日が、一つの強烈な目的とそれを共有する仲間を得て、ものすごい勢いで燃えて輝き始めたような印象を受けました。

ベジャールが日本で歌舞伎の仮名手本忠臣蔵を見て、さらにその背景を学んだ過程で、彼に一番響いたのは日本人の「忠義」ではなく、討ち入りに突進していく狂信的な集団のイメージだったのかもしれないな、と思いました。

ダンスや衣裳もいろいろな工夫がされていて、女性の着物の裾を黒子が広げたり、ダンサーが大きな動きをするときはその衣裳を黒子がサラリを取ってダンサーを自由にし、また黒子が着せかけてあげる、など、黒子の扱いが面白かったです。これなら裾の長い衣裳でも美しく自由に見えますね。


モデルとなった江戸時代の実際の大石内蔵助は、お家のお取り潰しから討ち入りまでの時間の多くをお家再興のために費やしたそうですね。お家再興の望みが消えたときに、それまで仇討ちを主張していた部下たちに協調し、討ち入りの決行を決意したとか。討ち入りをした部下たちの中には、職を失い、もうそれしか道が無い者も多かったのかもしれませんね。

東京バレエ団のレパートリーにベジャール作品が定着しているのは、日本の幸運ですね。もう一つ、ベジャールの「M」も観たいなと思っています。早いうちに再演してくれないかな。
by tsutsumi_t | 2013-12-22 22:02 | ダンス(日本)


バレエ、ダンス全般、建築についてのブログ。


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Tsutsumi

Mechanical engineer / Architect

建築学科を卒業、日本の建築設計事務所で働いた後、2011年に渡英。
バレエやダンス全般の観劇についてここに記しています。

(追記)2013年4月に日本に帰国しました。

(追記)2016年12月に出産しました。観劇はなかなか難しく、ブログの内容が子育てにシフトしてきています。

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